翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

All things must pass/諸行無常

いくつになっても、4月は新しいことを習い始める月。

今年の4月は仏教伝道協会でステファン・グレイス先生の講座が始まりました。
これまで1年半、ケネス田中先生の講座に出席していたのですが、大学がお忙しくなったそうで、ステファン先生にバトンタッチとなりました。

ケネス先生の講義がいつも楽しくて、毎月第4木曜日にお会いすることが当たり前のようになっていたので、ちょっとショックでした。でも、まさに先生が教えてくださった「諸行無常=impermanent」です。

ステファン先生はニュージーランド出身。講座のテーマが「十牛図」と聞き、がぜん興味が湧きました。

十牛図」は禅の悟りにいたる道筋を牛を主題とした十枚の絵で表したもの。
大学時代にユング心理学を学び、河合隼雄を通して十牛図を知りました。

ユング心理学と仏教

ユング心理学と仏教

河合隼雄十牛図を初めて知ったのは、日本ではなくアメリカにおいてでした。日本のものはすべて嫌いだけど、禅にだけは親近感を持っていたそうです。

禅における突然の悟りに心を惹かれていました。そんなことを経験できればどんなに素晴らしいだろう、というのと、そんなことを私に経験できるはずがないという気持ちがありました。どう努力しても一瞬にして悟るなどということが自分にできるとは思えません。そんなときに、十牛図を見て、ともかくはそれは十枚の図として段階的に示されていることが実に真剣に感じられました。

ステファン先生の1回目の講座のテーマは、悟り/Enlightenment
3つのテーマについて考えました。
1 悟った人には何が起こるのか、悟ったことで人格はどう変わるのか
2 普通の人々が悟ることは可能か
3 伝統的な仏教国(日本など)の人々は、(そうでない国の人々と比べて)悟ることは容易か

特におもしろかったのは3番。いかにもステファン先生らしい問いです。
日本では仏教というとお葬式などの儀式のイメージが強いので、そういった先入観のない外国の人のほうが悟りに近いのではないかという意見には、なるほどと思いました。

仏教の経典はパーリ語で書かれているのですから、漢語や日本語だって翻訳です。英語だからといって仏教からかけ離れているわけではありません。

NHKラジオ英会話の4月の文法では助動詞"must"の使い方で「ならざるをえない」というニュアンスを習いました。「諸行無常」を表すのにぴったりきます。

All good things must come to an end.
(よいことは全て終わるもの)

Into every life a little rain must fall.
(人生みな小雨降るものなり)

What goes up must come down.
(上がるものは下がるべし)

そして、ジョージ・ハリスンの名曲"All things must pass"。

All things must pass
None of life's strings can last
So I must be on my way
And face another day
すべては過ぎていくもの
人生の糸はどれも長くは続かない
だから私は自分の道を進み
また明日を迎える

インド思想に傾倒したジョージらしく、きわめて仏教的です。

ビートルズの4人のメンバーのうち、ボブ・ディランと最も気が合ったのがジョージ。そう思って聞くと、ますます味わい深くなります。


毎年、花は咲くけれど、去年と同じ花はない。だから花は美しい。