翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

誰でも最後は一人旅

今でこそ「おひとりさま」という言葉が市民権を得て、温泉宿でも一人で泊まれるところが増えてきましたが、一昔前は女性の一人旅は何かと不自由なものでした。
「おひとりさま限定」や「一人一部屋同一料金」ツアーもあり、一人旅愛好家にとっては、楽しい世の中になりました。

「一人旅なんてとても無理」と思っていても、上野千鶴子の言う通り、誰でも「最後はおひとりさま」です。

おひとりさまの老後 (文春文庫)

おひとりさまの老後 (文春文庫)

どんなに仲がいいパートナーがいても、心中でもしない限り、一人であの世に旅立つか、相手を見送って一人暮らしとなります。

「子供がいるから一人にならない」と思っている人もいるでしょうが、老後に子供と同居するのもなかなか大変そうです。いくら親子でも相性があるし、一人で暮らすよりも孤独を感じるかもしれません。

「同居はしなくても、いざという時に子供がいると頼りになる」という根強い意見もあります。
先日、父の白内障手術の説明を受けた時「退院日は、支払いや手続きがあるので、家族に来てほしい」と言われ、子供のいない高齢者はどうするのだろうと思いました。

これだけ単身高齢者が増えてくれば、対応するシステムも整備されていくはずです。

入院経験のある友人の優春翠から聞いた話。

役所の人に付き添ってもらった一人暮らしのおばあさん、家族がいるおばあさんと同じ部屋だったけれど、日曜日のようすがまったく違う。
一人暮らしのおばあさんは、いつもと変わらずおだやかに過ごしているのに対し、家族がいるおばあさんはひっきりなしに窓から外を伺い、家族がお見舞いに来るのを今か今かと待ち受けていた。待っている間の焦燥感、家族が返ってからの寂寥感がひしひしと伝わってきて、家族がいるから幸せとは言い切れないと思った。

これで思い出したのが映画『八月の鯨』です。

八月の鯨 [DVD]

八月の鯨 [DVD]

リリアン・ギッシュとベティ・デイビスが演じる老姉妹が鯨の見えるメイン州の小さな島に暮らしています。
夫が若くして戦死し、未亡人となった妹(リリアン・ギッシュ)は、記念日には夫の写真の前に花を飾り、ワインを楽しみます。一方、姉(ベティ・デイビス)はあまり訪ねてきてくれない子供に不満を抱き、頑固でわがままになっていきます。

リリアン・ギッシュは「おひとりさまの上級者」を絵に描いたような優美な老女を演じていました。
私の理想の老後イメージですが、はたしてあんな風に年を重ねられるものか…。


箱根の宿に飾ってあった雛人形