ウィルヘルムのドイツ語訳『易経』をさらに英語に訳した"THE ICHIG"を眺めていると、新たな卦の見方が次々と浮かんできます。
中国語の古典を英語で読むのは邪道のようですが、日本語だって翻訳したものですから完全に原文の意味を伝えるものではありません。森羅万象のシンボルを扱う『易経』は、西洋を経由することで、さらに厚みが増しているようにと感じます。
私の好きな卦に「山沢損(さんたくそん)」があります。
「損」というぐらいだから、凶の卦のようですが、易は常に変化して、その先を見ます。「山沢損」に続くのは「風雷益(ふうらいえき)」。「損して得取れ」という言葉のように、「風雷益」が出たらそろそろ損出のタイミングで、「山沢損」が出たらそろそろ利益が期待できます。
三爻の爻辞。
「三人行けば一人を損す。一人行けばその友を得る」
英語ではこうなります。
"When three people journey together, their number decreases by one, when one man journeys alone, he finds a companion."
三人で旅をすると、仲たがいが起こり、一人が去ってしまい二人で旅することになりますが、一人で旅をすれば、仲間が見つかります。
そういえば、私が旅をするなら二人か一人。三人で行くことはめったにありません。
温泉や短い旅行なら二人旅が楽しいけれど、テーマのある長い旅なら一人で行きます。
心細いこともあるし、知らない土地で一人でご飯を食べて宿に泊まるのは心細いし、割高になることもあります。
でも、「山沢損」が告げるように、得るものも多いのです。
旅は人生に新しい風を入れ、運気が回ります。せっかく旅に出るなら、できれば三人は避けることにします。
今月は箱根に一泊旅行へ。雪の箱根は風情があり、温泉を満喫しました。
「一人旅の勇気」というテーマでも書いています。
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