仏教伝道協会でのケネス田中先生の講座、11月のテーマはImpermanent(諸行無常)でした。
「日本では平家物語の影響か、諸行無常というと暗いイメージを持つ人が多いけれど、もっと前向きに考えることができる」とケネス先生。
常に変化しているからこそ、新しい一日を迎えることができるわけです。
参加者であるイギリス人のロジャーさんもImpermanentについて語ってくださいました。
世界旅行の途中でイスラエルのキブツでの6ヶ月間のボランティア体験のお話です。
6ヶ月というとものすごく長く感じますが、無料の宿泊と食事が提供されるので、ロジャーさんより長く滞在している元旅行者がたくさんいたそうです。
たしかに節約しながらのバックパッカーの旅は苦しいことも多いし、快適な環境が手に入れば、そこにずるずると長居して旅を忘れてしまうのでしょう。
でもロジャーさんは、コンフォートゾーンに止まるのは若い自分にとっていいことではないと判断して、思い切って航空券を入手し、半年間過ごしたキブツを離れることにしたそうです。
こんな話を聞くと、変化のない日常なんてつまらないし、人生には常にImpermanentが必要だという気になってきます。
ケネス先生の講義では、無常という真理から学ぶことを生活に活かすための、次の二文が印象に残りました。
To focus on the now and live fully in the present.
(今この瞬間に集中して、今を精一杯生きること)To be open to changes that unfold in our lives.
(私たちの暮らしの中で現れる変化に心を開いて受け入れること)
誕生日の心構えについても参考になりました。
ケネス先生が12歳の頃、早く13歳になって「ティーンエージャー」になるのが待ち遠しかったそうです。12歳はtwelveですから、13歳からティーンエージャーとなるわけです。
しかし、人生の折り返し地点を過ぎると、誕生日が近づくたびに「もうそんな時期か!」とため息が出ます。
自分は変わっていないつもりでも、免許やパスポートの更新で顔写真を撮ると「こんなに老けてる!」とがっかりします。そして、次の更新時には前の写真を見て「この時は若かった」と思うのです。
ケネス先生は誕生日を迎えると、「また年を取った」ではなく、「また一年生きることができた」「新しいことが体験できた」と思うそうです。5年ぐらい前から、そう思えるspace of mindができてきたとのこと。
明日、12月22日は冬至です。
易者にとっては、誕生日よりも一年の節目を感じる日です。
四柱推命や九星気学などの東洋の占いでは一年の始まりを立春(2月4日頃)としますが、易では冬至です。
陰と陽の6つの爻の組み合わせで占う易では、陰(夜)が最も極まった冬至を一陽来復の日として、一年のスタートと位置付けるのです。
易を学び始めて以来、冬至には一年間の成り行きを占う年筮を立ててきました。
六十四卦や爻の解釈に用いる『易経』の英訳は"Book of Changes"、まさにImpermanentです。
たとえ前の同じ卦が得られたとしても、占う対象である私自身が変化しているのですから解釈は変わってきます。
そして、凶の卦であっても、それを戒めとすることで、一年間の生き方を変えることができます。