翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

みうらじゅんの念仏「そこがいいんじゃない!」

仏教について少しずつ学んでいるのですが、みうらじゅんの本もとてもおもしろく読めます。

マイ仏教 (新潮新書)

マイ仏教 (新潮新書)

ゆるキャラ」や「マイブーム」など、サブカルのジャンルで知られるみうらじゅんですが、子供時代の夢は、お坊さんになること。自分のお寺である「マイ寺院」を持ち、毎日、大好きな仏像を拝みたいという渋い子供だったそうです。

みうらじゅんは、京都市出身で、浄土真宗東山中学・高等学校で学び、武蔵野美大へ。
美大に合格するエピソードも興味深いものがあります。

美大入学のための予備校で、石膏像をデッサンするのですが、先生は「これはブルータスに見えるかもしれないけど、ブルータスではない」「形をそのように摸しているだけのことで、仮にこれが割れたら、果たしてそれはブルータスと言えるのか?」と禅問答のようなことを繰り返します。

その意味がわからず、みうらじゅんは二浪するのですが、ある日、石膏像をアパートで倒してしまします。
その瞬間に「諸行無常」をキャッチ。

「ブルータスの石膏像も、割れてしまえばただの石膏。先生が「これはブルータスじゃないんだ!」と力説していた理由が、そのときようやくわかり、翌年、美大に合格しました。
 あのとき、石膏像が倒れていなかったら、きっと私はずっと目に見える形にとらわれたままで、「ブルータスの似顔絵」ばかりを描いていたはずです。
 形あるものは一時的な状態に過ぎなくて、それは即ち"ない"ことと一緒である。デッサンの本質もまた「色即是空」だったのです。

この本で一番、感動したのは、みうらじゅんのマイ念仏「そこがいいんじゃない!」です。どんなに辛いときも「そこがいいんじゃない!」と唱えることで、ポジティブになれる方法です。

「そこがいいんじゃない!」と唱えることで、だんだんとその対象を好きになっていきます。考え続けて苦しい状態も少し楽になってきます。
 このように「そこがいいんじゃない!」と発生する訓練をしておくと、そう発言した瞬間から、脳が「そうなんだ」と思い始めてくれます。人間はいつも脳主導で動いているように見えますが、このように言葉を無理やりにでも発することで、その0・1秒後に脳がついてくる、ということに気づきました。

「お金がなくなってきた。今月ピンチだな」「彼女にフラれた」「仕事が上手くいかなかった」「あの上司が嫌い」といったどのようなケースでも「そこがいいんじゃない!」

これ、けっこう効きます。

今年は伊豆方面に出かけることが多かったのですが、先月、小田原駅の周辺で昼ご飯を食べることにしました。
小田原だから魚がおいしいだろうと探したところ、客引きのお姉さんがいて、ランチの値段もお手頃だったのでそこにしました。
せっかくだから、ちょっと高めの海鮮丼にしてみたのですが、うーん、東京で同じ値段ならもっと豪華かも。
壁に貼ってあるメニューを見ると、イカの丸焼き1800円、牡蠣1個450円…。どうやら店選びを間違えたようです。

すかさず「そこがいいんじゃない!」
伊東まで足を伸ばせば、安くて感動ものの魚料理が食べられます。小田原は新幹線も止まる観光地だから、こんなお店も成り立つのでしょう。そこそこの店に入って予定調和で終わるよりも、記憶に残る体験です。伊東のよさも再認識できたし。

みうらじゅんの言う通り、たいていのことは「そこがいいんじゃない!」と口に出すと、本当にそう思えてきます。


島根県川本町のお寺の書庫。アンネが覗き込んでいます。