翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

ショッピングで唱えるマントラ"Is this me?"

前回に続き、『しあわせの隠れ場所』と『赤毛のアン』話。

『しあわせの隠れ場所』でサンドラ・ブロック演じるリー・アンはインテリア関係の仕事をしていて、装いもとてもファッショナブル。
そんなリー・アンが、2枚のシャツしか持っていないマイケルに洋服を買ってあげるシーンがあります。
リー・アンのアドバイスがとても素敵。

One thing I know about shopping is ... if you don't love it in the store, you won't wear it.
買い物について私の知っていることは、店で惚れ込めない服を買っても、着ないということ。

So before you choose something, think of yourself wearing it. Say to yourself, "Is this me?"
だから、選ぶ前に、その服を着た自分を想像しなさい。そして、自分に聞く。「これは僕に似合うかな?」と。

"Is this me?"は、直訳すると「これは私?」ですが、その服が自分に似合うかという意味なのでしょう。

1年間の買い物断食中の私が実行できるのは、先のことですが、これは覚えておこうとメモしました。バーゲンで値札だけを見て"Is this me?"と自問しなかったために、何度失敗したことか。財布を開く前に、このマントラを唱えれば賢明な買い物ができるはずです。

買い物断食、やってみたら毎日がすごく楽です。食品と消耗品しか買わないので、買い物時間がとても短くて済みます。
http://d.hatena.ne.jp/bob0524/20141005/1412472964

リー・アンがマイケルに服を買ってあげるシーンを観て、再び『赤毛のアン』を思い出しました。
アンを引き取ったマリラは3枚の新しい服を作ってあげたシーン。
中学生の頃、村岡訳で読んだのですが、どんな服なのか想像したものです。

One was of snuffy colored gingham which Marilla had been tempted to buy from a peddler the preceding summer because it looked so serviceable.
一枚はこげ茶色のギンガムで、しごく実用的だとすすめる行商人に去年の夏、とうとうくどきおとされてマリラが買った物だった。(村岡花子訳・以下同)

One was of black-and-white checkered sateen which she had picked up at a bargain counter in the winter.
もう一つのは黒と白のごばん縞の綿じゅすで、この冬、物品交換所で見つけたもの。

One was a stiff print of an ugly blue shade which she had purchased that week at a Carmody store.
あとの一枚は、ごわごわした、いやな色の青い更紗で、つい今週、町の店で買ってきたものだった。

しかも、デザインはすべて同じ!
plain skirts fulled tightly to plain waists, with sleeves as plain as waist and skirt and tight as sleeves could be(ひだのないスカートがひだのない胴につづき、袖は胴やスカートとおなじように、なんのかざりもなくて、きちきちに細かった)

「気に入った?」と聞かれ、アンは「気に入ったつもりになる(I'll imagine that I like them.)」と答え、マリラの気分を害します。

これまで孤児院の服を着ていたのだから、何をもらってもありがたいはずだというマリラにアンはこう言います。
Oh, I AM grateful, but I'd be ever so much gratefuller if-if you'd made just one of them with puffed sleeves.
(もちろん、感謝しています。でも、もし、もし、このうちの1着だけでも、ふくらんだ袖にしてくださったら、もっと感謝できたのですけど)

赤毛のアン』が発表されたのは1908年ですから、服は手軽に買うものでなく、布地を求めて自分で縫うか、人に作ってもらうものだったでしょう。ましてや孤児院から引き取られた女の子が、自分の好みを口にするなんて、とんでもないことだったのでしょう。

片や『しあわせの隠れ場所』はファストファッションが街にあふれる現代生活で、自分らしい一着を選ぶことををリー・アンはマイケルに教えようとします。

アンのふくらんだ袖へのあこがれは、マシュウがクリスマスにひだやレースがふんだんにある茶色のドレスをプレゼントすることで満たされます。
「あんまりうれしくて夢の中にいるようだ」と涙を浮かべるアン。一着の服でこれほどの感動を得ることは、今の時代にはなかなかむずかしいことです。


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