365日の買い物断食に挑戦しているからこそ、体験に使うお金は惜しみたくない。
むしろ、買い物断食中だからこそ、新しい体験を求めたい。
そう考えているところに、酒豪編集者から「おいしいもの食べに行こう」とお誘いが。
スピ系やオカルト本の書籍を作っている編集者は、ヨガ行者の本を担当したのをきっかけに、ムスタン2週間の旅を終えたところです。ムスタンはかつて存在した奥ヒマラヤの王国で、現在はネパール領です。
店は好きなところを選んでいいと言ってくれたので、ムスタンのお土産話を聞くのにふさわしい新大久保のネパール居酒屋モモにしました。モモとは、ネパール風蒸し餃子です。
左の雑居ビルの2階にあります。隣のビルの1階はエスニック食料品店。早めに着いてあたりを探訪した編集者は「外国への送金サービスなんてのもあって怪しさ満開」と大喜びです。
看板メニューのMOMO。つまみを頼み、ネパールのビールを片っ端から飲みました。酒豪の編集者は途中からワイン。
店内はほぼネパール人と思われました。まったくわからない言葉が飛び交い、注文はメニュー指さしです。
そんな中、ムスタンの旅行話を聞きました。
成田からバンコクへ飛び、カトマンズで一泊。ポカラまで飛び、さらにムスタンに飛びます。ヒマラヤを飛ぶ飛行機はしばしば欠航になるため、予備日も見込んで2週間の旅程が必要。帰りの飛行機が飛ばず、でこぼこ道をジープで十何時間も揺られたポカラまで帰ってきたそうです。
十数人のグループにガイドやポーターが付き、宿泊先のロッジではポーターが料理もします。高山病にもなって、かなり苦しかったようす。
それでも、ムスタンの旅はすばらしい体験で、プライベート旅行で再訪したいと編集者は言います。
「じゃあ、次は一緒に!」
私が発した言葉ですが、私じゃなくて、何か天から降ってきたような感覚です。話を聞くまではムスタンに行きたいなんて一度も考えたことがなかったのに。
酔ってはいたけれど、ムスタンに呼ばれているような気が確かにしたのです。
編集者は大喜びで、ムスタンのベストシーズンについて語り始め、自由業の私が編集者のスケジュールに合わせることになりました。
酒の席、しかも異国のようなネパール居酒屋の雰囲気に幻惑された与太話で終わるかもしれません。
でも、実現するかもしれない。夢見心地で帰路につきました。電車で10分ちょっとで、こんな異国体験ができるなんて、東京はおもしろいところです。