翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

日本の神様≠god

NHKラジオ英会話7月最終週は小泉八雲の『怪談』から"A Dead Secret"が教材でした。

フィンランド人のアンネの来日前に島根を紹介するために使ったキーワードの一つが小泉八雲(Lafcadio Hearn)でした。
小泉八雲一神教の厳格なのキリスト教になじめず、神話の国・島根を心から愛して「神々の首都」と呼びました。
ハーンの父はアイルランド人。敬虔なカトリック国ですが、キリスト教が伝わる前は多神教ドルイド教が信仰されてい
ました。母はギリシャ人。こちらも日本神話と同じような人間味あふれる神々の国です。

外国人に日本を知ってもらうために小泉八雲の著作は恰好のガイドです。
そして、日本人にとっても、失われつつある古き日本を知る読み物です。

「箪笥」「和尚」「戒名」といった日本語がそのまま使われています。
そもそも、本のタイトルからして"Ghost Stories"ではなく"Kwaidan"です。

「子の刻」は"the Hour of the Rat"。
現代の日本人にとっては、十二支で時刻を言われてもピンとこないでしょう。
子年、丑年といった年はおなじみですが、月や日、時刻も十二支で示されます。
一日24時間に十二支が配当されるので、一つの干支は2時間。子の刻は午後11時から午前1時までです。
子の次は丑。幽霊が出るのは「草木も眠る丑三つ時」で、まさに子の刻を過ぎてからです。
そして、お昼の12時を「正午」と呼ぶのは午の刻が午前11時から午後1時までで、その真中が12時だからです。

Nothing appeared until after the Hour of the Rat.(子の刻過ぎまでは何も現れなった)という一文を「午前1時過ぎまで」としては、外国人読者に日本的な異国情緒が伝わりません。

これで思い出したのが、フィンランド人のアンネと島根県江津市の山野辺神社を訪れた時のこと。
優春翠も関わっている「イワミノチカラ」という石見地方活性化のプログラムを主催している伊藤康丈さんと神職の高橋重宗さんが迎えてくれました。

山野辺神社の「古事記絵詞」は一般公開はしていないのですが、特別に高橋さん直々の解説で見学させていただきました。
天野岩戸に引きこもっても、外でおもしろいことがあれば好奇心にかられるアマテラスオオミカミを筆頭として、日本の神様はとても人間的。
八百万の神」を"eight million gods"とアンネに説明していたのですが、帰国子女で英語に堪能な高橋さんは「日本の神様は、そのままカミサマにしておいたほうがいいのではないでしょうか」とアドバイスしてくれました。
たしかに、一神教の神と八百万の神はまったく違います。

以前、アメリカ人のマイケルに、八百万の神の話をしたのですが、リベラルで進歩的なマイケルだからよかったわけで、進化論を否定するバイブルベルトからやって来たアメリカ人なら気を悪くするかもしれません。

「ディランも神、バースも神」
http://d.hatena.ne.jp/bob0524/20140522/1400723011

仏教伝道協会のケネス田中先生の講座で、英語で仏教を説明することは少しずつ学んでいますが、神道はまだまだこれから。
インド伝来の仏教は日本語だろうが英語だろうが翻訳なのですが、神道は日本固有のものです。なんでもかんでも英語に訳せばいいわけではありません。


高橋さんは音楽好きで、元は結婚式場だったスペースを音楽スタジオに改装しています。
音楽好きのアンネと私は目を輝かせ「古事記絵詞よりも食いつきがいいですね」と苦笑されました。
神社の神楽殿でライブが開催されることもあると聞き、フィンランドバンドを呼ぶのもおもしろいのじゃないかと話が弾みました。