翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

弟子の準備ができた時に師が現れる

カウチサーフィンは、アメリカの大学生によって作られた旅行者交流サイトですから、若者向けです。
50代の私が活用するのは少し無理があります。
だから、若者のように無鉄砲にカウチリクエストを送るのではなく、まず東京でホストしたりメール交換を通して親しくなることから始めました。

そして、昨年のフィンランド旅行はカウチサーフィンを活用したことで、本当に充実したものになりました。
自宅に泊めてもらっただけでなく、学校や会社にも連れて行ってもらい、フィンランドの日常生活に触れることができました。

今年はアンネが3ヶ月間日本に滞在するので、新しいカウチサーファーはホストせず、もっぱらアンネと一緒に動き回っています。
送られてくるカウチリクエストにはコピペも多く、「この人に会いたい」と思わせるものはめったにありません。

しかし、アメリカ・シカゴのマイケルからのリクエストには、大きく心を動かされました。

マイケルは72歳。カウチサーファーとしては超高齢です。
日本には宿泊付きのツアーで訪れるので、カウチを求めているわけではありません。

リクエストにはこうありました。

I think your profile on CS shows you to be a caring person with a great sense of adventure and curiosity, and I hope that you might be able to find some time for you and I to meet and perhaps have tea or dinner together while I am in Tokyo.
あなたのカウチサーフィンのプロフィールを読むと、あなたは思いやりがあり、冒険心と好奇心あふれる人のようです。もし、私の東京滞在中に、お茶か夕食をご一緒できれば幸いです。

なるほど。こういうカウチサーフィン活用法があったか。

昨年秋のフィンランド旅行では、年甲斐もなく、スザンヌが友人とシェアしているフラットに泊めてもらったりしましたが、カウチサーフィンは泊める側はもちろん、泊まる側もかなりエネルギーを消耗します。高齢になれば、夜はプライベートなスペースで疲れを取りたいものでしょう。

飛行機とホテルがセットされたツアーを利用して、自由時間にカウチサーフィンを活用して現地の人と交流する。とてもいいアイデアです。私も将来、そうしたい。

マイケルへの返事。
「あなたのような経験豊かなカウチサーファーからのリクエストを常に待っていました。もちろん、東京でお会いしましょう。サラ・パレツキーV・I・ウォーショースキー・シリーズの愛読者である私にとって、シカゴはあこがれの街です。そして、私はボブ・ディランの大ファン。ディランと同じ年のアメリカ人のあなたとお会いするのが楽しみです」

マイケルと待ち合わせたのは築地の波除神社。
午前中に築地市場の観光があり、その後の歌舞伎座ツアーはスキップして私と会うことになりました。

「ツアーのスケジュールに入ってない場所で興味のあるところがあれば、案内します」と申し出たのですが、私と会うのは観光ではなく会話が目的とのこと。お互いのプロフィールを読み、数通のメールを交わしているので、共通の話題がたくさんあるのです。

築地から銀座まで歩いて、落ち着けるカフェを見つけ、カウチサーフィン活用法について語り合いました。

マイケルのカウチサーフィンはもっぱらホスト中心。特に、経済的に厳しそうな若い留学生を優先的に泊めてあげているそうです。

そして、ある程度の年齢以上の旅人はエアビーアンドビーで泊めているそうです。

「宿泊費が生じるエアビーアンドビーだと、安宿の女主人になってしまいビジネスライクな付き合いで終わってしまいそうだから、あまり気が進まない」という私。

「だけど、いい年齢の大人は、ある程度の対価は払いたいものだよ。私のコンドはシカゴの中心街のとてもいい場所にあって眺めもいい。うちより眺めが悪いホテルが1泊200ドル以上するんだよ。エアビーアンドビーでうちに泊まれば2泊で100ドルなんだから、いい話だと思わないかい?」とマイケル。
エアビーアンドビーで得たお金は旅行資金の足しにしているそうです。

快適なゲストルームがあれば、それも可能でしょう。私の4畳半の仕事部屋では、やっぱりお金はもらえません。

しかし、マイケルの話には一理あります。
カウチサーフィンは旅先の人々と触れ合えるシステムですが、節約のために無料宿泊所として利用する旅人も多いのも事実です。中年以上の旅人と知り合うのは、エアビーアンドビーのほうがいいかもしれません。

「せっかくアメリカに学びに来たのに、お金のゆとりがなくて、シカゴを旅することができない若者をサポートしたい」というマイケルの思いは、高校と大学で数学を教えてきた教育者としてのキャリアによるものでしょう。

だったら、日本について学びたいというフィンランド人をサポートするのが私の使命かも。

若者中心のカウチサーフィンですが、使い方によっては高齢になっても楽しめます。

マイケルのように海外パッケージツアーと組み合わせるのもいいし、海外を旅するエネルギーがなくなっても、自宅で海外からの旅人をもてなすためにも使えます。
肉体の老いはどうしようもない部分もありますが、刺激的な人と出会うことで、精神の老いは少しでも食い止めることができるのではないかと期待しています。

カウチサーフィンを始めるにあたり、サンフランシスコのアレックスから話を聞き、とても参考になりました。
d.hatena.ne.jp

単に外国人旅行者を無料で泊めるだけでなく、日本文化を学びたい外国人をサポートする。
そのためのヒントを与えてくれたのが、シカゴのマイケルです。

インドの古いことわざ「弟子の準備ができた時に、師は現れる」。
When the student is ready, the teacher appears.

私のカウチサーフィンも、新しい段階に進んだようです。


マイケルからのお土産の絵葉書。マイケルの家からは、シカゴ・カブズの本拠地、リグレー・フィールドが見えるそうです。