翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

おひとりさまの北海道温泉ツアー

東京にも大雪が降りましたが、さらに深い雪の北海道へ行ってきました。
目的は温泉です。四柱推命の命式では、私は冬山の温泉。雪を見ながら露天風呂に入ることで、エネルギーが一気に補給されます。

冬の北海道ツアーは格安だと聞いていたのですが、探してみると本当に安い。
「おひとりさま同一料金」というツアーがありました。「おひとりさま」に力を入れているクラブツーリズムです。
旭川空港利用の4泊5日。2か所の温泉に2泊ずつします。空港と宿の送迎、夕食と朝食付きで3万円。こんな価格で利益が出るのだろうかと心配になるぐらいの安さです。

どんなものか、話のタネに行ってみることにしました。自由業の気楽さで、原稿を書き溜めてネットと携帯電話があれば、東京にいる必要はありません。
羽田空港の団体旅行カウンターでチケットを受け取り、旭川空港で迎えのバスに乗り込みます。

参加者の大半は60代から70代。定年退職した夫とその妻、同性同士のグループ、そしておひとりさま。
旅行好きの人が多く、毎月どこかに旅行していたり、海外は50か国以上行ったという人もいます。今の高齢者はお金も時間もたっぷりあるんだと実感。ワーキングプアの若者が聞いたら革命を起こしたくなるかも。

バス移動で道の駅などで休憩すると、集合時間より早めに集まる人が大半。遅れたら全員に迷惑がかかることが骨身にしみているようです。
「全員集まったので、早めですが出発します」ということが何度かあり、時間ぎりぎりに戻るのはやめようと思いました。

おひとり様同士、知り合いもできました。
78歳の上品な老婦人です。宿に向かうバスで隣同士に座ったのがきっかけで、あれこれ話をしました。
おひとり様ツアーには二度目の参加だそうです。
「前回も仲良くしてくださった方がいて、ご飯は一緒に食べて、あとはそれぞれ自由に。
羽田まで帰ったら、『さようなら、ごきげんよう』とお別れして、それっきり。ああ、こんなおつきあいは気楽でいいなと思って」

なるほど、旅先だけで完結する人間関係ってけっこういいかも。
温泉宿では、Wi-Fiがつながるのは1階のロビーだけ。パスワードを教えてもらい、ロビーでメールチェックをしましたが、私以外にネットをしている参加者には出会いませんでした。だからメールアドレスの交換やフェイスブックの友達申請なんて話は出てきません。そして食事時間にスマホで料理の写真を撮る人も皆無でした。

老婦人はきれいな山の手言葉を話します。
まるで小津映画の登場人物がそのままお年を召したような女性です。
金婚式を迎える1年前、結婚49年でご主人に先立たれました。特に体に悪いところはないので、病院には近づかないようにしているとのこと。『大往生したけりゃ、医療と関わるな』を実践していらっしゃるようです。
高齢者であることに甘えずに、できる範囲で自立しようとする心構えが随所に感じられます。
「旅行カバンを持って移動していると、若い方が持ってくださることが多くて、お気の毒だからできるだけ軽くして、自分で運べるようにしています。だからお土産もほとんど買いません」

友達や子供と旅行するのではなく、おひとり様ツアーを選んだのは、若い頃の体験からだそうです。
まだ独身だった頃、山登りが好きで、女友達と二人で駒ヶ岳へ。昭和35年のことだそうです。スキーも得意だったそうで、なかなか活動的なお嬢さんだったのでしょう。
ところが、登山の途中で、お友達が『もう登りたくない』と言い出して、一人で頂上まで登りました。
だから、登山や旅行は一人がいいと思うようになったそうです。
結婚後は夫や子供たちと旅行したけれど、今はこうして自分の行きたいところに一人で旅しています。

なんとカッコいい老婦人。私もそんなふうに年を重ねたい。
食事や移動中は親しく話しましたが、温泉に入るペースが違うので、後はあまり顔を合わせませんでした。
そして帰りの羽田空港に到着すると、連絡先を交換することなく、お別れしました。

SNSにより「つながる」ことばかりに目を向けていましたが、こんなふうな一期一会もなかなかいいものだと思いました。
「おひとり様ツアー」、こんな出会いがあるし、あるいは、友人と別々に申し込んで一人一部屋を確保して一緒に行くのもいいかも。新しい楽しみが見つかって、わくわくしています。


大雪山国立公園内の秘湯に宿泊。氷点下の気温の中で入る露天風呂が大好きです。