掃除のモチベーションを上げる本や映画が好きです。
たとえば、アガサ・クリスティの『パディントン発4時50分』。
- 作者: アガサ・クリスティー,松下祥子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
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オックスフォード大学を優秀な成績で卒業し、どこにでも就職できたのに、あえて家政婦を選んだという女性です。ハウスキーピングの腕を買われ、予約が殺到。自分が気に入った家とだけ契約し、楽しんで仕事をしています。
ミステリーの謎解きより、彼女の家事の描写に夢中になります。
映画だったら、『バグダッド・カフェ』。
バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 Blu-ray
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2010/06/26
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当初、女主人のブレンダは「勝手なことをしないで!」と怒るのですが、やはり美しい空間は人の心を癒します。
ジャスミンの掃除をきっかけに、登場人物全員にポジティブな変化が起こるのです。見方によっては、「お掃除風水」の映画です。
1945年、ベルリン陥落前後の混乱を記したノンフィクションでも、掃除のシーンが最も印象に残りました。
- 作者: アントニー・ビーヴァー,ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー,山本浩司
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2008/05/27
- メディア: 単行本
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女性たちは少しでも家の中の秩序を保つことで、精神の平衡を取り戻そうとします。
今日は快晴。私たちは何度も苦労して水を運んではシーツを洗った。ベッドにはきれいなシーツが敷かれた。そうする必要があった、ずっとブーツをはいたお客たちが訪問した後とあっては。
「ブーツをはいたお客たち」とはロシア兵のことです。
ずっと断水が続いたのですが、ようやく水道の蛇口から水が滴ります。
女性たちは大喜びで、すべてが徹底的に水洗いされます。『バグダッド・カフェ』のジャスミンもドイツ人でしたが、ドイツ女性はよほど掃除が好きなんでしょうか。
アパートの2階の未亡人宅に疎開していた主人公も、自分の部屋である屋根裏部屋に戻り、早速掃除に取りかかります。
私は昼食をすますと屋根裏部屋に上っていき、漆喰とがれきの山をかき分けて、ゴミをバケツに入れて階下まで運び、床を拭き掃除した。壊れかけたバルコニーの鉢にチャービルとルリチシャを植えた。
「掃除が面倒」と思えるのは、平和だからこそ。水も洗剤も自由に使えて、掃除のあとはお茶も飲める。
『ベルリン終戦日記』を読んで、そんなささやかな幸せを実感できるようになりました。