カウチサーフィンでホストしてもらったエリカ、アンナの二人ともアラビア社のムーミン・マグカップを使っていました。毎年、新しい限定マグが発売されるので、コレクションしている人も多いそうです。
我が家にあるのは、スナフキンとスニフの2種類。
ムーミンのキャラクターで最も人気があるのはスナフキンですが、フィンランドでスナフキンと言っても通じません。本名はNuuskamuikkunen(ヌースカムイックネン)。何度聞いても覚えられませんでした。
私はスニフが一番好き。猫が好きなことに加え、性格が私と似ているからです。
スナフキンとスニフを選んだのは、『ムーミン谷の仲間たち』に収録されている『スニフとセドリックのこと』を折に触れて読み返すからです。
- 作者: トーベ・ヤンソン,山室静
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: 文庫
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『スニフとセドリックのこと』は、スナフキンとスニフの会話で構成されています。
物欲のかたまりであるスニフは、犬のぬいぐるみのセドリックをガフサ夫人の娘にプレゼントしたことを激しく後悔し、食べることも寝ることもできません。
スニフがセドリックを手放したのは、ムーミンに「もし自分が本当に好きなものを人にやったら、それが十倍にもなって返ってくる」と言われたから。スニフは愚かで欲が深く、泣き虫なんです。
執着からも自由な旅人スナフキンは、スニフに母親のおばさんの話をします。
おばさんは持ち物をとても大切にする人でした。美しいものを集め、より分け、磨きたてるのが趣味。
ところがある夜、カツレツの骨を飲み込んで体の具合が悪くなり、医者に余命2、3週間と告げられます。
死期が近づくと、きれいな品物はまったく心のなぐさめになりません。
おばさんは、すべて人にプレゼントすることにしました。
その人にぴったりの品物を、差出人の名前は書かずに、小包で送るおばさん。スナフキンには、金とローズウッドでできたハーモニカを送りました。
ものがなくなるにつれ、部屋はだんだん広くなり、おばさんの気持ちは明るくなっていきました。
そこで大パーティーを開いて、一晩中おもしろい話をしていたら…。
おばさんは、大笑いして、お腹から骨が飛び出し、すっかり治ってしまったのです。
そしておばさんは旅に出ました。深海にもぐるには年を取り過ぎていたけれど、火を吹く山は見物したし、アマゾンにも出かけました。
それきり、おばさんの消息は誰も知らないそうです。
スナフキンのような颯爽とした旅人になるのは無理だけど、このおばさんみたいなことはできるのではないか。
『スニフとセドリックのこと』を読むたびにそう思うのです。