翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

仕方がないこと、仕方があること

9月19日、仏教伝道協会で開催されたシンポジウム「ここがスゴイよ 日本人の仏教観」に行ってきました。

パネリストは3人の外国人僧侶。
アメリカ育ちの日系三世、ケネス・タナカ師(浄土真宗
ドイツ生まれの禅僧、ネルケ・無方師(曹洞宗
スリランカ上座仏教長老のアルボムッレ・スマナサーラ師(日本テーラワーダ仏教協会

フィンランドでは、日本についてもっと深く説明できたらいいのにと思うことがしばしばありました。
日本で活動する外国人僧侶のお話を聞くのは、願ってもない機会です。お三方とも、流暢な日本語を話します。

8月の阿佐ヶ谷七夕祭りの占いイベントでご一緒した天海玉紀先生が瞑想をなさっているというので、お誘いしました。
興味のあることは、一人でも出かけるのですが、同行者がいれば終了後に感想も交換できます。

ネルケ・無方師は禅僧だけあって、姿勢がとても美しい。いつも背筋がすっと伸びています。
ドイツでの高校時代に座禅と接し、姿勢が変わると自分が変わることを実感。仏教修行の地として日本を選んだのも、道元が姿勢を重視していたことが理由の一つだそうです。

ディスカッション後の質疑応答、会場からの最後の質問とその答えが心に残りました。

東日本大震災の被災者は「仕方がない」と境遇を受け入れる。
2001年9月11日の米国同時多発テロ事件当時、運輸長官を務めていた日系二世のノーマン・ミネタ氏は、第二次大戦中の過酷な収容所体験を「仕方がない」とし、戦後はアメリカのために尽くした。
こうした思考の背景には大乗仏教があるのではないか、そして「仕方がない」という表現は英語にあるのか、という質問です。

日系三世のケネス・タナカ師は、英語では"can not be helped"と表現すると説明した上で、「仕方がない」は、一見消極的だけど、明らかに物事を見ること、すなわちあきらめであり、現状を把握して引き受ける姿勢であるといいます。

スマサナーラ師のお答え。
「仕方がないこと」と「仕方があること」がある。
仕方があることなら、怠けず、まっすぐ行動する。
仕方がないことは、水に流す。
この二つを分けることが重要。

アメリカの神学者ラインホルド・ニーバーの祈りですね。

God,grant me the serenity to accept the things I cannot change,
the courage to change the things I can;
and the wisdom to know the difference.

神様、変えることのできないものを受けいれる静穏と、
変えることのできるものを変える勇気と、
その違いを見分ける知恵を授けてください。

そして、ドイツ出身のネルケ無方師は、ホロコーストについて語りました。
「当時、ユダヤ人虐殺に反対していたドイツ人はたくさんいた。
でも『仕方がない』と放置してしまった。彼らは何かをすべきだったのに」

第二次大戦中の日系人収容所からホロコーストへと広がっていきましたが、個人の生活の中でも、「仕方がないこと」「仕方があること」を見極めるのは大切です。

私は「仕方がないこと」をあれこれ悩んでしまいがちなタイプ。無駄なエネルギーを費やす前に、さっさと次の展開に踏み出さなくては。


ヘルシンキで最も好きな場所。街の中心にあるカンピン・ カッペリ(カンピ礼拝堂)。
キリスト教のチャペルですが、とてもそうは見えません。やわらかな曲線の木製ドームの中で人々は静かに祈ります。
私もヘルシンキ滞在中は、毎日訪れました。キリスト教の祈りや仏教の念仏の作法を知らないので、今回の旅行でお世話になった方の顔を一人一人思い浮かべて感謝しました。