翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

ヨレ様はどこへ行った

レニングラードカウボーイズのボーカル、ヨレ・マルヤランタにハマって、フィンランドおたくと化したのがちょうど去年の今頃です。


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中野スオミ教会のフィンランド語教室に通い始め、カウチサーフィンでフィンランド人旅行者をホスト。気が付いたら今月末からフィンランドに行くことになっていました。

フィンランドに行くからには、念願の「ヨレ様追っかけ」をするかというと、その時間が取れません。
メール交換を続けてきた編集者のエリカは「森でキノコ狩り」「サウナ」「中学校の英語授業見学」「出版社見学」など次々と企画を立ててくれました。スザンヌも私が泊まる日は休めるように調整するというし、アン姉さんに至っては1週間の休暇を取るとのこと。春に四国の歩き遍路のために長い休みを取ったのに大丈夫なのかと思いますが、フィンランドでは当たり前のことなんでしょう。近隣の街も車で案内すると大張りきりです。

ユハナ君やマイヤちゃん、ノーラ、ミッカ、そしてヨルマが紹介してくれたヴィッレに会うだけで、旅程は埋まってしまい、ヨレ様を追っかけることができなくなりました。

そして、本当にヨレ様に会いたいかと自問自答してみると、はっきりと答えが出てきません。
私が夢中になったのは、1994年、トータル・バラライカ・ショーのヨレ様。20年以上の歳月が流れ、ヨレ様はレニングラードカウボーイズのボーカルではなくなり、サングラスもリーゼントもやめて、フィンランド語で歌うソロ歌手となっています。

アラン・コーエンが本物の愛を手に入れる方法について書いた本に、アイドルへの熱中についての考察がありました。

運命の人を引き寄せる10の法則―本物の愛とソウルメイトを手に入れる

運命の人を引き寄せる10の法則―本物の愛とソウルメイトを手に入れる

アランの奥さんはバリー・マニローの永年のファンで、夫婦でラスベガスでコンサートを観ます。

隣に座った熱狂的なファンは、バリーが登場するとうっとりした目つきで口をぽかんと開け放心状態に。永遠にバリーに触れることも、言葉を交わすこともなくても、バリーはまさしく運命の人であり、彼女のためだけに情熱的な愛の歌を歌っているのです。

報いられることもなければ出口もなく、閉塞感に襲われる生活では、ひそかな空想により自分に喜びを与える道を見つけるのは、ある意味では賢明な方法だとアランはいいます。

しかし、現実の恋人ではなく幻想を追い求めるだけでいいのだろうかとアランは読者に問いかけます。

自分の心を開きわくわくさせてくれた夢の恋人に感謝して、それから、他のどこでもない、今自分がいる場所に情熱を振り向けてください。心は作り話に投資するのはもったいないほど貴重なものです。自分に利益をもたらしてくれる人に、改めて投資し直すのです。
<中略>
百ドル払って年に一度、八十三列目の席から彼に会ったりする必要はなくなるのです。

これを読んだのが1年前だったら「そうは言ってもね」と反論したくなったでしょうけど、今は共感する部分もあります。

幻想の恋人を持つことで、気持ちが明るくなり、生活に張りができるなら、それはとても意味のあることです。だけど、一生そこにとどまるのではなく、次のステップを探してみてはどうでしょうか。

もちろん今でもヨレ様は私の永遠のアイドルであり、映像や音楽に接するたびにときめきます。
それだけで終わらず、ヨレ様によって私のぼんやりとした毎日に、フィンランドという明確なテーマが与えられたのです。

トータル・バラライカ・ショーのビデオを繰り返しレンタルして店の人に不審がられていたので、オークションで購入しました。久しぶりにレンタルショップに行ってみると、カウリスマキ・コーナーがなくなっていました。あのタイミングでヨレ様を知ったのは、やっぱり運命だったのだと、またしても妄想を抱いています。


トータル・バラライカ・ショーはヘルシンキ大聖堂の前、巨大屋外ステージで行われました。