翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

「結婚したカップルの44%が離婚する」とディラン先生は語る

ボブ・ディランがDJを務めるラジオ番組が、この4月から日本でも聞けるようになりました(インターFMで木曜夜8時、再放送は日曜夜10時)。

タイトルは、Bob Dylan's Theme Time Radio Hour。「テーマ・タイム」と名付けられた通り「野球」「楽器」「父親」など、一つのテーマに沿った曲をディラン先生が選びます。

若い頃のディラン先生はかなり早口でした。ブートレクシリーズのCDには、詩の朗読も収録されているのですが、あふれるように言葉が出てきて、とても聞き取れません。
そんなディラン先生も御年70を越え、言葉を慈しむかのようなゆったりとした口調で話すようになりました。それでもすべては理解できないので、私は録音してピーター・バラカンの解説を先に聞いてからディラン先生のDJを聞いています。

6月後半は、「結婚」に続いて「離婚」がテーマ。結婚はともかく、離婚の曲なんかあるのかと思いましたが、ディラン先生によると、アメリカの夫婦の44%が離婚するそうです。そして「そのほうが幸せだ」とディラン先生。

そういえば結婚をテーマにした回ではこんなフレーズも出てきました。
「結婚というのはすべて幸せだ。辛いのはその後、一緒に暮らすことだ」
「私の友達はとても幸せな結婚生活を10年過ごしました。残念ながら結婚生活のトータルは30年でした」
「結婚した後、女性より男性のほうが長生きするというのは間違いです。ただ男性の方が結婚生活を長く感じているだけ」
http://www.interfm.co.jp/bobdylan/blog/?p=149

たしかに結婚生活を続けるのも大変だけど、離婚はもっと辛い。

アメリカのスピリチュアリスト、アラン・コーエンの日本向けの本を書く仕事で、彼のセミナーに参加したり、直接インタビューしたことがあります。

日本で離婚を「バツ1」「バツ2」と呼ぶのはあまりいいことでないとアランは言います。離婚は決して失敗ではないからです。
そして、人間関係は人生の季節のようなものだから、最高の関係で結婚して、その時期が過ぎたから離婚するのは自然なことだそうです。
アランによれば、離婚は引越しのようなもの。10年同じ住まいに住んでいて引越したからといって、前の住まいで失敗したわけではないわけです。
アランによれば、アメリカでは再婚者同士の結婚で、元の配偶者の名前を呼び、感謝を捧げることがあるそうです。「私の成長に貢献してくれた配偶者のおかげで、幸せな再婚ができる」と。

その境地に達するには、かなりの修行が必要でしょう。

離婚ほどのダメージはなくても、人間関係がうまくいかなかったり、自分が期待しているほど評価されないと、誰しも動揺してしまいます。

ディラン先生が息子のために作った名曲「いつまでも若く」。
「神様がいつも君を祝福してくれますように」「君の願いがすべて叶いますように」「いつも人のために尽くし、人も君に尽くしてくれますように」「君が星へ届くはしごをかけて、一段一段上がれますように」「いつまでも若くありますように」といった、子供を思う父親の気持ちが歌われています。

私が最も心打たれるのは、この一節。

May you have a strong foundation
When the winds of changes shift.
(風向きが変わった時も足元が揺るぎませんように)

「いつまでも若く」を、編集者からの携帯着信音にしているのですが、それは私が編集者からの評価に一喜一憂するのを戒めるため。
編集者からほめてもらうのはとてもうれしいのですが、まず自分でも納得できる原稿を書きたいのです。

ディラン先生にはこんな名言もあります。
A man is a success if he gets up in the morning and goes to bed at night and in between does what he wants to do.
朝起きて夜寝るまでの間に、自分が本当にやりたいことをやっていれば、その人は成功者だ。

「フォークの神様」ともてはやされても、ロックがやりたくなったらさっさと転向し、どれほどブーイングを浴びようとも観客に迎合しない。ラジオDJでは、自分の曲は一切かけず、好きな曲をかける。ディラン先生の人生を象徴する言葉です。

願わくば、ディラン先生の言うとおり、結婚しようが離婚しようが、人からの評価に左右されず、自分が本当にやりたいことをやる毎日を送れますように。


ボブ・ディランが若き日を過ごしたグリニッジ・ヴィレッジ。