翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

旅で運をぐるぐる回す

「そのうちフィンランドに行く」とカウチサーフィンのゲストに告げていたら「いつ来るの?」「私はしばらく日本に行けないから、日本的なものを感じるために、あなたに早く来てほしい」といった催促が来るようになりました。
こんなに待ってくれている人がいるなら、そろそろ行くべきでしょう。

秋はどうだろう。紅葉の森でキノコ狩りなんていかにもフィンランドっぽい。
しかし、アンネに提案してみると、「depressing(憂鬱な、陰気な)」の一言。
フィンランド人が一年で最も日が長くなる夏至を徹夜でお祝いするのは、夏至が過ぎると、太陽の光が日々弱くなっていくのを実感するから。暗くて長い冬、鬱病になったり、ビタミンD不足で体調を崩す人も多いそうです。
フィンランドでは、冬至は特にお祝いしないそうですが、ヨーロッパでは冬至がクリスマスと合体しているからでしょう。クリスマスが過ぎれば、厳しい冬が続いても、日が差す時間は日々長くなっていきます。

フィンランド人にとって、心が暗くなるのは10月と11月だとアンネは言います。
だったら9月はどうだろうかと尋ねると「できるだけ早めに来て」とのこと。「9月の初旬なら、サマーコテージも使えるから」。
そして「ヘルシンキだけでは、本当のフィンランドを見たとはいえない。私の住んでいるところは、観光スポットはないけれど、ごく普通のフィンランドの生活を体験できる。サマーコテージには、サウナと湖もある」と招待してくれました。

航空券をチェック。
JALが7月からヘルシンキ直行便を就航します。JALのマイラーなのでJALで飛びたいところですが、サーチャージ込みで約17万円。同時期のフィンエアーは約11万円ですから、この違いはかなり大きい。
フィンエアーの安い運賃は早い者勝ち。ぎりぎりの予約では高い席しか残っていないので、8月の終わりに出発する約2週間の日程で予約しました。会いたい人とすべて会うには、これだけの日が必要です。

フィンランド行きが決まると、俄然、楽しくなってきました。
旅の楽しさは、その期間だけでなく、わくわくしながら計画したり、旅から戻って思い出の反芻も含まれています。

女一人の自由旅行というと、心配されることもあるのですが、フィンランドは比較的安全な国ですし、うまくいかないことがあっても、それ自体を楽しめばいいと思います。

宗教人類学者として世界を旅する植島啓司先生の「生きるチカラ」より。

旅と観光の大きな違いは、日常から離れられるかどうかということであり、それには「時間に縛られない」ということが大前提となる。スケジュールが決まっているというのでは、それは単なる日常の延長にすぎない。あくせくと時計を見ながら過ごさなければならないなんて、旅じゃない。予定さえなければ、たとえトラブルに巻き込まれたとしても、それをそういう旅だったのだとあきらめられる。

植島先生がマラケシュを旅したとき、旅行鞄のカギを紛失しました。
着替えもタオルもすべてカバンの中。迷ったあげく、カギを壊して中のものを取り出したのですが、いったんカギを壊すと、カバンは閉まらなくなり、中のものがはみ出してきました。
仕方がないのでスーク(市場)で1時間かけて楽しみながら交渉。宿に帰ってみると、申し訳なさそうに「バイトの子がカギを見つけてフロントの引き出しに入れておいたが、報告していなかった」と主人に謝罪されました。

植島先生の感想は下記の通り。

しかし、それもまた旅なのだ。おかげでスークで楽しい会話を楽しめたし、買い物もできたし、マラケシュの夜を堪能することもできた。旅では自分の身に起こることはすべていいことだと思ったらいいのである。

植島先生が提唱するのは「運をぐるぐる回す」。
運が自分のところばかりに偏ったりすることは、まったく来なかったりするのと同様、けっして好ましいことではない。運は動いているからこそ意味があるそうです。
だったら、旅は運を回す絶好の機会。決まり切った日常を離れ、トラブルさえも楽しめるような、自由な旅を目指します。