翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

人生の専攻を決める

旅について考えることが多いので、この本を読みました。

食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探究の書

食べて、祈って、恋をして 女が直面するあらゆること探究の書

ジュリア・ロバーツ主演で映画化され、それなりにおもしろかったのですが、美人女優による旅番組みたいで、この本の持つ深い意味までは描き切れていないように思います。

著者のエリザベス・ギルバートはアメリカの作家。
30代半ばで結婚生活に破れ、新しくできた恋人ともうまくいきません。
経済面でも苦境に。彼女のほうから離婚を求めたので、現金、自宅、マンハッタンのアパートの賃借権はすべて夫に渡すと申し入れたのですが、夫はさらに要求してきます。結婚中に彼女が書いた本の印税の一部、将来映画化されるときの映画化権の一部、さらに個人退職金積立講座の一部…。
男女に関わらず、アメリカでは社会的な成功者が離婚するのは本当に大変なんですね。もし作家の妻が離婚を言い渡され、このような要求を出したらそれほど奇異に思わないのに、男女が逆転すると「エリザベス、気の毒に」と感じてしまうのは、私が古い考えにとらわれているからでしょう。

眠れない夜が続いたある日、ハイジャックされた二機の飛行機が彼女の住む街で最も高い二棟のビルに激突します。彼女の生活はなだれを打つかのように崩壊し、体重は14キロ近く落ちたそうです。
どうにも耐えられなくなって友人に助けを求める電話をかけます。かけつけた友人は精神科医に電話してこう言います。
「友人が命を落とすのではないかと心配なのです」

それほどひどい状態から回復するためには、ありきたりの旅では不十分。
彼女が立てた計画は、イタリア、インド、インドネシアにそれぞれ4ヶ月、合わせて1年間の旅です。

イタリアでエリザベスは毎日、自分に問いかけます。
「きょうは、なにをして楽しもうか、リズ? いまあなたに喜びをもたらしてくれるのはなに?」
そして、彼女のイタリア滞在はこんなふうになりました。

イタリアで楽しんでいいと自分にお墨付きを与えると、この国でなにをしたくないかを見定めることに興味が湧いた。なにしろ、イタリアには人生の喜びがごまんと溢れている。その全部を試している時間はない。こういうときは専攻を決めてしまうのがいちばんだ。そう考えてみると、わたしはファッションには興味がなかった。オペラにも、映画にも、かっこいい車にも、アルプスでのスキーにも。芸術作品をそれほど観たいとも思わなかった。これを認めるのはいささか恥ずかしいけれど、イタリアに滞在した四ヶ月間、わたしはどこのミュージアムも訪ねていない(いや、それどころか、もっとひどい。身をよじりつつ告白すると、実はひとつだけ訪ねている。ローマの国立パスタ博物館だ)。こうしてわたしは、自分がイタリアで本当にしたいことを見つけた。すばらしい料理を食べること。わたしの専攻は話すことと食べること(ジェラートへの耽溺も含む)だと決まった。

こんな箇所を読むと、私も人生の専攻を決め、他人の旅程を気にすることなく、自分の旅を続けたいと思います。


旅先の甲府で食べたランチ。