翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

いくつになっても「最後の授業」は切ない

昨年9月から通い始めた中野・スオミ教会のフィンランド語教室。
月に2回のペースなのですが、年が明けてからは仕事のやりくりがつかず休むことが多くなりました。

牧師のマルッティ先生と奥様のパイヴィ先生が任期を終えてフィンランドに帰国されることになり、3月の講座は歓送迎会となりました。入門クラスを担当してくださっていた輝世先生も転居のため、お別れです。

小学校の国語の教科書に「最後の授業」というお話が載っていました。
ドイツ領となったフランスのアルザス地方の小学校の話です。
主人公の少年は遊びたい盛りで学校をさぼってばかり。その日も遅刻して、先生に叱られるのではないかと教室に入ると、いつもとようすが違います。
教室には村の人たちもたくさん集まっています。アルザスはドイツ領になり、フランス語を教えることが禁止されたので、この日が最後の授業だったのです。

若い人にこの話をしても通じないことがあったのですが、国語の教科書からは消えたそうです。
アルザスはもともとドイツ語圏で、この小説に描かれた先生は、フランス語を話せないアルザス人にフランス語を教えるために赴任してきていました。
アルザス第一次世界大戦で再びフランスに奪還されてフランス語教育が始まったのですが、この地で話されているのはドイツ語に近い土着語なので、この話自体が史実をゆがめていると批判されたとのことです。

そういう事実を知ってびっくりしたのですが、私にとっては国語の教科書の中で最も印象に残った物語でした。
授業では、「勉強はいつでもできると思わずに、その日その日の授業を真剣に受けましょうね」みたいに諭されたのですが、この教訓はちっとも身についていなかったわけです。

フィンランド語クラス歓送迎会では、生徒から感謝のメッセージを伝えたのですが、上級や中級クラスの方々はフィンランド語でした。
私がフィンランド語で言えるのは「この猫は白いが、あの猫は黒い」レベルですから、しかたなく日本語で。フィンランド語文法があまりにも複雑で、やっぱり無理だとあきらめかけ、仕事が忙しいのを理由に復習もろくにしてこなかったのです。

4月からは後任の吉村先生と奥様により、フィンランド語クラスが続けられていくようです。語学学校でもなく、スオミ教会の好意によって、こうした場を作ってくださっているのだから、生徒側も誠実に対応しなくてはいけないと思いました。
願わくばこの気持ちを持ち続けることができますように。