翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

フィンランド人はなぜ英語が上手なのか?

昨年9月からフィンランド語を学び始めたものの、とても身につきそうにありません。

ある日のクラスでは、数を学びました。
1 yksi(ユクシ)、2 kaksi(カクシ)、3 kolme(コルメ)…。
このくらいなら覚えられても、7 seitsemän(セイツェマン)、8 kahdeksan(カハデクサン)、9 yhdeksän(ユフデクサン)まで来ると、もう無理。
お店では商品に値札がついているだろうし、時計や携帯があれば、人に時間を聞くこともないし、そもそも「英語で言えばいいじゃないの」と思ってしまいます。

フィンランドの人はほとんどが流暢な英語を話します。
私の経験では、フランス、ドイツ、スペインといった国とは比較にならないぐらい英語が浸透していました。英語圏を旅しているのではないかと錯覚するぐらいのレベルでした。

カウリスマキの映画「レニングラードカウボーイズ アメリカに行く」では、ロシアのツンドラ出身のロックバンドという設定なので、マネージャーのウラジミールはひどいロシア語なまりの英語でしたし、メンバーはアメリカに向かう機中で英語を学んでいました。

ところが「トータル・バラライカショー」でヨレ・マルヤランタにうっとりしたのは、彼が歌う英語が、とても明瞭でわかりやすかったからです。
フィンランド語は英語とは単語、文法、発音もまるっきり違います。
フィンランド語講座で知り合った友人は、フィンランドに語学留学する前に滞在したイギリスで「フィンランド語? なんであんなに変わった言語を学ぶの?」と不思議がられたそうです。
フィンランド人にとって英語を学ぶのは日本人と同じぐらい大変なはずです。どうしてあんなに英語が上手なんでしょう。

フィンランドでも、高齢者には英語が話せないという人もいるそうです。若者の英語力が高いのは、やはり教育の成果なのかも。
堀内都喜子「フィンランド 豊かさのメソッド」(集英社新書)によると、小学校2、3年生から英語を学び、6年生で簡単な日常会話ができるレベルになっているそうです。高校を卒業した時点で、英語はできて当たり前。
テレビの影響も大きいそうです。人口が500万人ほどですから、自国で制作した番組だけでは足りず、英語の番組を吹き替えなし、字幕つきで放映します。
ゲームも英語版。勉強嫌いで、テレビやゲーム漬けの引きこもりになるにしても、英語は必須なのです。
日本人が自国で暮らしている限り、特殊な職業を除いては英語ができなくても特に不自由はありません。一方、小国であるフィンランドでは、母国語だけでは生き残れないという強いモチベーションが生まれるのかもしれません。

何十年も英語を学んできたというのに、フィンランドの若者と話していると、私のほうが英語が下手で、がっくりきます。
フィンランド語をかじりつつも、基本的な会話パターンを覚えるのが精いっぱいで、使いこなせるようになるとは想像できません。フィンランド人と深い会話をするには英語に切り替えるしかありませんから、これからも効果的な英語学習法を求めてさまようことでしょう。

まず、フィンランドを見習って、なるべく吹き替えではない英語の映画やドラマを見ることにします。そして、あまりにもアメリカ的、イギリス的なイディオムやスラングはパスして、非ネイティブとの意思疎通のためと割り切れば、少しはハードルが低くなるはずです。