翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

カウチサーフィンは現実の人づきあいの縮図

今日は渋谷でイギリス人青年とランチです。カウチサーフィンで連絡が来たのです。
12月30日に来日して、外国人向けJRパスで日本を回るという彼に「帰省ラッシュで大変だよ」とアドバイスしました。
「間違った時期に計画を立ててしまったようだ」と落ち込んでいるようなので、昼ごはんぐらい一緒に食べることにしたのです。

2013年からはカウチサーフィンのホストを本格的に始めます。
当初は「見も知らぬ外国人を自宅に泊めるなんて」と及び腰だったのですが、カウチサーフィンの醍醐味は宿泊を提供しあうこと。
一人暮らしだとリスキーかもしれませんが、家族がいますし、狭いけれど独立した原稿書き用の書斎を持っているので、そこに泊まってもらうことにします。

情報収集のために東京でのミーティングにも出かけ、アメリカ人のベテランカウチサーファー、アレックスからいろいろ教えてもらいました。
彼は世界中でカウチサーフィンをして、自宅はサンフランシスコなのでホスト経験も豊富です。

「いいかい、ホストとサーファーはそれぞれインディペンデントなんだから、あれこれ世話を焼くことなんかないんだよ」とアレックス。「時間があったら東京を案内してもいいけれど、忙しかったら放っておくんだ」
「それじゃあ、単なる無料宿泊所になってしまわない?」と私。
「宿泊するんだから、交流はあるよ。事前にプロフィールをよく読めば、単に無料で泊まりたいというサーファーは排除できる。僕は基本的に25歳以下の学生はホストしないね。彼らはいかにして金を使わずに旅を続けるかしか考えていないことが多いから」

ここで若い日本人男性が「僕は若い学生もホストする」と発言。彼はワンルームに一人暮らしで、2人を泊めたこともあるそうです。
「人それぞれルールを決めておけばいいんだ」とアレックスは話を続けます。

「日本の田舎でね、カウチリクエストを出したら、わざわざ迎えに来てくれたんだ。彼の父親が経営する料理店まで車に乗せて連れて行ってくれた。そこで山のようにご馳走になった。カウチサーフィンで外国人をもてなすのは初めてだと興奮していたけれど、『こんなことばっかりやっていたら、続かないよ』とアドバイスした。一緒に外食するなら、基本的に割り勘だし、カウチを提供してもらうのだから、ゲストのほうが出してもいいぐらいだ」
「じゃあ朝ごはんはどうしているの?」と私。
「僕の家では、ごちそうしている。アメリカでは、オレンジジュースや牛乳、シリアルは安いから、そんなに負担にならないんだ」

私の家に泊めるのは一人のみ。
来客用にはシングルサイズの布団一組しかないからです。

プロフィール、カウチの説明はできるだけ細かく書いたほうがいいようです。「単なる無料宿泊所ではありません。文化交流を望んでいる人だけコンタクトしてください」という一文を入れました。
本音では、交流したいのはフィンランド人だけ。そう書くと露骨すぎるので、「カウチサーフィンで学びたいこと」という項目に「フィンランド文化、フィンランド語」と書いておきました。

基本的に私は人間関係をあまり広げたくないタイプ。
話していてつまらない人とは時間を共有したくありません。
それなのにカウチサーフィンなんて大胆なことを始めるなんて、と驚かれることもあるのですが、意気投合しそうな人を探し出すフィルターが何重にも用意されているのですから、そこを読み取ればいいのです。
私は占い師よりライターのほうが経験が長いので、その人の書いたプロフィールやメールを読めばどんな人なのか、だいたい見当がつきます。

東京は住宅事情が悪いし、日本人は外国人を泊めるのに慣れていないので、カウチの需要は圧倒的に供給を下回ります。

私のプロフィールを読んでいない旅人からのリクエストもちょくちょく舞い込んできます。
二人組だったり、大勢のホストに同じ内容で出しているようなまったく個性のない文面だったり…。
カウチサーフィンは慈善事業ではないので、気が進まなければどんどん断ってかまいません。
リクエストを送ってきた人は貧しく飢えているわけではなく、少なくとも海外旅行ができる余裕があるわけですから。

カウチサーフィンのサイトには掲示板もあります。タイ人が、こんなスレッドを立てていました。

バンコクに住んでいるので、月に100件のリクエストを受けます。私が受け入れるのはその1割弱ぐらい。近所の観光案内を期待されるのですが、何度も同じ場所に行くのに飽き飽きしています。たとえば、水上マーケット。現地在住なので、1500バーツのボートを交渉して800バーツに値切ってあげています。すると、8割のカウチサーファーは、私にボートに一緒に乗ってくれというのです。しかもボート代は割り勘で。さらに、ツアーガイドの役割まで求められるのにうんざりしています」

これに対して、世界中から「それはやりすぎ」「やりたくないことには、はっきりノーと言え」というアドバイスが書き込まれました。

タイ人がさらに状況説明。
「私だって、何でも受け入れているわけではありません。現に90%のカウチリクエストは断っているわけですから。しかし、実際にホストしてみると、ノーと言うのにプレッシャーを感じることが多いのです。バンコクでは英語が通じません。だから、外出するなら一緒に来てほしいと頼まれるのです」

この人によると、タイではゲストを家族のように扱うという文化があるそうです。
さすが微笑みの国です。
それに甘えて、ずるずると滞在を延ばし、最初に決めた日数より居座るサーファーもいるのでしょう。

タイは物価が安いので、2〜3ヶ月の長期滞在の旅行者も多いようす。
安いゲストハウスもあるだろうにと思うのですが、親切なホストに当たれば、出て行きたくなくなるのでしょうか。

参考になったアドバイス
A couchsurfing guest is to traditional house guest as facebook friend is to regular friend.
Don't treat them like your long-lost cousin.
カウチサーフィンのゲストと従来の訪問客は、フェイスブックの友達と現実の友達のようなもの。
彼らを長らく会っていない従兄弟のようにもてなすな。

Repeat after me, everyone...
"Fish, AND GUESTS- stink after three days!"
さあ、みんな、復唱して。「魚とゲストは3日もすれば腐ってくる!」
(居座るゲストを追い出すにはぴったりの言葉ですね)

上記はアメリカ人の書き込み。次はフランス人。
I was like you at the beginning, probably the excitement of the Couchsurfing thing...until I realized it was time and money consuming and also until I realized that lots of people had a tendency to take things for granted...
Since then I have talked with fellow hosts and also chosen my surfers more mindfully in order to avoid any disappointment.
私も最初はあなたのようでした。カウチサーフィンを始めた興奮からでしょう… そのうち、私が時間とお金をかなり使っていることに気づき、それを当然だと思うゲストも多いことに気づきました…
それ以来、私は他のホストから情報を集め、サーファーを慎重に選ぶようにしています。失望を避けるために。

国際交流だからと、張り切って大盤振る舞いをする必要はないのですね。
アレックスの言う通り、カウチサーフィンのルールはそれぞれが決めていいと思います。

カウチサーフィンのサイトで知り合い、現在、メール交換しているヘルシンキの編集者は、二度の来日経験があり「2、3年のうちにまた日本に行きたい」といいます。私も、具体的な予定はありませんが、そのうちフィンランドに行くつもり。それまでにメールで交流を続けていれば、単なるcouchsurfing guestではなく、traditional house guestとしてお互いを受け入れられるかもしれません。

カウチサーフィンも、結局は人と人との関係。国が違うと文化の衝突もあるでしょうが、同じ日本人だって「この人、こんな風に考えるんだ」とぎょっとすることがあります。
英語のブラッシュアップだけでなく、人づきあいの機微も学べそうです。


追記
その後のカウチサーフィン体験
d.hatena.ne.jp

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カウチサーフィンでよく聞かれる質問を2回に分けてまとめました。
サーファーの選び方
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待ち合わせ、食事、観光
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