NHKの「地球イチバン」という番組でフィンランドの小学校の教育法が紹介されました。
私がフィンランドに興味を持ったきっかけは、カウリスマキ監督の映画ですが、お洒落な北欧雑貨好きの女子だけでなく、教育関係者からも、フィンランドは熱いまなざしを集めています。
OECD(経済協力開発機構)が実施しているPISAという学力テストでトップの成績なのがフィンランド。暗記力ではなく「自分で考える力」を問うテストです。
教育の成果は経済に反映され、GDPはこの20年間で1.6倍に成長したそうです。
番組では、俳優の六角精児がフィンランドの小学校に体験入学します。そこで教えられるのがアセトゥスカルッタ(思考の地図)。
生徒にはそれぞれ、切り抜き写真が配られます。写真の人物を元に、主人公のキャラクターを考え、物語を作ります。与えられる時間は20分。
これが授業になるの?と思いますが、知識の詰め込みではなく、自分で発想していく力を育てるのが目的です。
今の時代、ほとんどの知識は検索すれば手に入ります。
求められる能力は、集めた知識をどう活用するかです。
フィンランドは20年前に深刻な不況に陥りました。
アキ・カウリスマキの「浮き雲」は夫婦が同時に職を失う苦境を描いた映画です。そこから立ち直れたのは、創造力をはぐくむ教育の力なんでしょう。
日本の教育を受けた私は、受験勉強の中に組み込まれ、創造力はあまり重視されませんでした。
易を学ぶプロセスで、「与えられた材料を使って、自分で考える」ことの重要性を認識するようになりました。
易というと、六十四卦の爻辞をひたすら暗記するイメージがあるのですが、大切なのは暗記力ではありません。
私が通った易の講座では、占的と得られた卦が示され、10分ほど考える時間が与えられます。そして、順番に自分の解釈を発表していきます。
なかでも、射覆(せきふ)はエキサイティングでした。
先生が持参したものは布で覆われています。生徒はそれぞれ易を立て、それが何であるかを当てるのです。
そんな超能力実験みたいなこと、と思われるかもしれませんが、出た卦を眺めているうちに、ヒントがもたらされるのです。
6つの爻の陰陽の組み合わせから、導き出される答えは無限にあります。そこから何をピックアップするか、易者の真剣勝負です。
暗記力を超えて、自分で考える力を引き出すには、易はとても有益なツールです。
フィンランド・ナーンタリのムーミンワールド。スナフキンが出没します。