翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

内向的なスーザン・ケインが弁護士になった理由

英会話を学ぶ教材として高く評価されているTED Talks。
TEDとは、Technology Entertainment Designの略で、カリフォルニア州ロングビーチで講演会を主催しています。テーマは多岐にわたり、選考の基準は、Ideas Worth Spreading (広げるにふさわしいアイデア)です。
英単語やフレーズを機械的に覚えるのは好きではないけれど、伝えたいことがあるから英語を身につけたいという人にはぴったりです。

NHK・Eテレでは「スーパープレゼンテーション」というタイトルで放映しています。講演者は視覚や聴覚効果も狙ってアイデアを伝えようとしますから、スピーチというよりプレゼンテーションと呼ぶほうがふさわしいでしょう。ネット上で動画も配信されていますから、いつでも自由に視聴できます。

印象深いプレゼンの一つが、スーザン・ケインの「The power of introvert/内向的な人のパワー」。
彼女によって「Introvert/内向的」という言葉が流行語となったそうで、NHKラジオの実践ビジネス英会話でもこの5月、テーマに取り上げられていました(Networking for Introverts)。反意語の外向的はExtrovertです。

はっきり自己主張し、明るく社交的であることが評価されるアメリカで、内向的な彼女がどう生きてきたかを語ります。

出だしのエピソードから引き込まれました。

9歳のサマーキャンプの思い出です。スーザンの母親は、スーツケースにたくさんの本を入れてくれました。彼女が育った家庭では、家族が揃って、各自の本を読む習慣がありました。サマーキャンプでも、女の子が一緒に読書するのだろうとスーザンは想像していたのです。

ところがキャンプでは、リーダーに集められてチアの練習。騒がしく明るく過ごすことがよしとされ、スーツケースから本を取り出そうとしただけで批判的なまなざしが向けられ、リーダーには「もっと活動的に」と注意されました。

スーザンはこれと似た思い出が50ほどあるそうです。アメリカでは外向的にならなくてはいけないという圧力が強いのでしょう。日本でも、一人でいるのが好きな子よりも、誰とでも仲良くできる明るい子が好まれる傾向があります。

スーザンが本当になりたかった職業は作家なのに、弁護士になりました。
その後、7年かけて内向性についての本を執筆。著書「QUIET: The power of Introverts in a world that can't stop talking」は、全米ベストセラーとなりました。

彼女によれば、全人口の3分の1から2分の1は内向的です。
もちろん、内向と外向のどちらかにきれいに分けられるというものではなく、極端な内向から外向までグラデーション上に並んでいるわけです。内向と外向の中間地点にあってバランスの取れた人もいるでしょうが、大多数の人はどちらかに分類されます。

スーザンは、弁護士になった理由を「私だって大胆で積極的になれると証明したかった」と説明しています。
彼女は自分の弱みを認めたくなかったのかもしれません。弁護士として働いてもあまり楽しくなかったことでしょう。

内向的だから人とまったく接しなくて殻に閉じこもっていればいいわけではありません。社会が要求する役割と自分が合わないのは苦しいものですが、苦しんだ分、学ぶことも多いものです。
スーザンも弁護士として働いた経験があるからこそ、著作に説得力が付加されたはずです。

どちらがいい、悪いという問題ではないのですから、まず自分を知りこと。それを踏まえた上で、人生の計画を立てましょう。人間社会で生きていく以上、苦手なことにも立ち向かわなくてはいけませんが、自分が目指すべき方向は常に意識しておくべきです。そうすれば、スーザンが弁護士という職業を卒業したのと同じように、自分に合った道を選ぶタイミングがやってきます。

彼女のプレゼンで、内向的な人が持つ潜在的なパワーを実感でき、自分と正直に向き合うことができるようになるはずです。

日本語訳付はこちら。
http://www.ted.com/talks/lang/ja/susan_cain_the_power_of_introverts.html