翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

湯島聖堂で易経を学ぶ

東京・御茶ノ水湯島聖堂江戸幕府が1979(寛政9)年に昌平坂学問所を開設した地です。現在、斯文会(しぶんかい)では、さまざまな文化講座が開催されています。

中村璋八先生の「五行大義」の講座を受けていたのですが、先生がご高齢のため講座が修了し、その後、足が遠のいていました。

この冬、会津を旅した際に会津藩校日新館を訪ねる機会があり、四書五行の素読に励む会津藩士の子弟の姿が展示されていました。
日新館の説明をしてくれた方から「昌平坂学問所」の名前も出て、そろそろ学問を再開せよという天の声のように聞こえました。

四書五経の筆頭は論語で、斯文会でも論語素読コースは人気があり、キャンセル待ちの講座もあります。
私は易者ですから、大東文化大学の林克教授の「易経入門」に申し込みました。

本当は先月、4月に開講するはずだったのですが、嵐により休講。ようやく5月からスタートとなりました。
といっても、継続しているコースなので、六十四卦の途中からのスタートとなります。月1回のペースですから、とても1年では終わらないのです。

「新しく入った方もいらっしゃるようだから」と林先生は「音釈(おんしゃく)」について講義してくださいました。
たとえば乾兌離震巽坎艮坤の八卦の乾。「乾」と「健」の発音が同じであることから、乾の徳は「健やか」となります。
日本人にとっては、単なる語呂合わせのように感じられますが、中国古典の読解には、文字の発音と意味の関係がとても重要だと林先生は力説されていました。

現代中国の簡略字は、日本人にとってなじみがないものです。
私などは、共産主義がせっかくの漢字文化を台無しにしているように感じていたのですが、簡略字は同じ発音の文字を代替して作ったものだそうです。そして、「発音が似ていれば同じ字と見なす」という発想は、共産主義とは関係なく、古代から脈々と受け継がれたものだったのです。

易の三義は、簡易、変化、不変。
シンプルでありながら、常に変化を続け、その根底には変わらぬ真理がある。
だからこそ、平成の日本に生きる易者が、お客さんの求めに応じてIT企業の資金繰りからダブル不倫阪神タイガースペナントレースの行方まで占えるのです。

たいていの知識は、本やネットを通して得られる便利な世の中です。
でも、先生のお顔を拝見しながら、直接、教えていただくことで得られるものも多いのです。
毎月1回、孔子像の前を通って易経講読の教室に通うのは、貴重な体験です。