翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

他人の靴を履いてみる

阪神タイガース宜野座キャンプでは、投手と野手を入れ替えた守備練習が行われました。ピッチャー鳥谷が投げて、キャッチャー藤川が受けるといった具合。
発案者は和田豊監督。
守備の立場を入れ替えることで、お互いの立場が理解でき、協力しやすくなるという意図です。

野球では、チームワークも重要です。
野手のエラーが相次いで失点してしまった投手が「1イニングで4つも5つもアウトを取らなくてはいけないのでは、やっていられない」と悪態をついていたことがありますが、野手だって好きでエラーしているのではありません。
反対に、コントロールが定まらず、四球で走者を出してしまう投手に対して、守っている野手も「いい加減にしろ」とイライラして、思わぬエラーが誘発されたり、次回に打席が回ってきても凡退しがちです。

シーズンが始まると、試合の結果だけでなく、チーム内の人間関係まで報道されるのは、そこに社会の縮図があるからです。

同じポジションだけを守っていると、どうしても視野が狭くなってしまいます。
頭の中では「人には親切にするべきだ」とわかっていても、いつも人から仕えられる立場にあると、つい横柄な態度をとってしまいがちです。

英語に、put oneself in someone’s shoesという表現があります。
「誰かの靴を履いてみる」、つまり、人の立場になって考えるという意味になります。

タイガースの選手たちは、人のポジションを守ってみることで、今後、チームメイトが失策を犯しても、想像力を働かせて寛大な気持ちでやりすごせるようになるかもしれません。

私が占いを学び始めたのは、開運原稿を書くためです。読者を想定して書いてはいたものの、やはり対面鑑定のダイレクトな反応とは違います。

週2日の対面鑑定を始めたことで、私の中で大きな気づきがありました。
直接、人と向き合うサービス業のむずかしさ。
ネガティブな表現は活字なら読み飛ばすこともできるけれど、個人鑑定では、相手の受け止め方を配慮しなくてはなりません。

たまに別の占い師さんの鑑定を受けるのも勉強になります。
表現がとても巧みで、すとんと心に届くメッセージを口にしてくれる占い師もいれば、言葉を使って人を傷付ける占い師もいます。

他人の靴を履くと、複数の視点が持てるようになります。
同じようなパターンの毎日が続いたら、意識して他人の靴を履いてみましょう。