翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

あなたの人生でドラゴンが意味するものは?

易経は哲学の本であって、占いの本でないという説をよく目にします。

たしかに易経をひもとけば、古めかしい漢文の羅列で、とても現代人の生活には合致するとは思えません。でも、そこには時代を超えた真理が描かれており、それをどう噛み砕いて伝えるかが占い師の役割だと思います。

先日、若い女性を占った時、沢火革の上爻が出ました。
占的が「自分の主張を押し通すべきか」だったので
「爻辞には、『君子豹変す』ありますから、あなたが態度を変える必要があります」と伝えました。
「クンシ? ヒョウヘン? 意味わかんない」というのが彼女の反応。
「君子というのは立派な人のこと。立派というのは、お金があったり、地位が高いというわけではなくて、人格者という意味。豹変は豹が季節の変わり目に毛皮の柄を一気に変えること。立派な人は、自分の考えにこだわることなく、周りのことを考えて、自分から折れることができるという意味。気まぐれやわがままで態度を変えるというのとはまったく違う変え方です」
と、順々に説明していくうちに、彼女も徐々にごり押しすることは得策ではないことに気づいていったようでした。

乾為天(けんいてん)という卦があります。陽爻が6つ重なった強力な卦で、爻辞はすべて龍によって説明されています。
幼い龍が湖の底に潜んだところから始まり、淵に姿を見せ、ついには天に昇り、龍のグループを形成するプロセスです。
健為天が出たからといって「あなたはドラゴンです」と伝えても、ファンタジー小説やゲーム愛好者以外は首をかしげることでしょう。

その人の人生において、ドラゴン的な行動とは何なのか。
仕事をがんばって出世を目指すことなのか、自分のやりたい趣味を始めることなのか、あるいは、一人旅に出ることなのか。それぞれの人生でドラゴンが象徴するものは変わってきます。
そこを探し当て、伝えるのが、周易のむずかしさであり、おもしろさです。