翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

スペインなのに、オランダとイタリア

ピレネーの麓、ロンセンバーリェスのアルベルゲ(巡礼宿)でボランティアとして働いているのは、ほとんどオランダ人でした。オスピタレイラとして巡礼者の世話をしている女性によると、オランダの教会組織がアルベルゲを所有しているそうです。 「なぜボラン…

自分の巡礼スタイルを見つける

スペイン巡礼に出る前に経験者の話を聞いたり書籍や体験談を読んで情報をあつめてきましたが、実際に歩いてみないとわからないことがたくさんあります。 特に当てにならないのが必要な日数。1日で20キロ前後を歩くのが標準とされていますが、私にはちょっと…

早くもカミーノ完歩に挫折

ピレネー越えの次は、パンプローナまでが目標。牛追い祭りやヘミングウェイで有名なナバラ州の州都です。 サンジャンピエドポーから田舎町ばかり歩いて来て、出会うのは巡礼者相手の宿やバルのひとばかり。パンプローナの手前の街まで来て、市井に生きる真っ…

カミーノの占星術師

オリソンの山小屋からロンセンバーリェスと次の街まで韓国人のスンニと歩きました。一般的なモデルケースよりかなりゆっくりしたペースです。7週間もかけるのにサンティアゴデコンポステーラを目指さないというとびっくりされますが、スンニは3ヶ月も休暇…

霧の中からYouTuberが現れた!

サンジャンピエドポーからいよいよ出発。 前日、アンジェラたちを出発の門まで見送って予習していたので迷うことはありませんでした。一気にピレネーを越えてロンセンバーリェスまで行くなら午前7時前に出発することが推奨されていますが、私は途中のオリソ…

巡礼の受難現代版

「こんなに巡礼が大変だとは」と嘆くのは、歩き始めてからだと思っていました。 日本を出るだけでもとんでもないトラブル続き! 前回のJALラウンジをアップしたのち、搭乗口に向かうと、エコノミーが満席のため、プレミアムエコノミーへのアップグレードを告…

成田でロビー・ロバートソンを偲ぶ

出発の日。まず成田からヘルシンキに飛び、パリに向かいます。 夫が休みを取って見送りに来てくれました。成田山新勝寺で旅の無事を祈り、空港近くの空の湯で温泉、サウナ、外気浴を堪能。日本を離れるのが嫌になりました。 直行便だとパリに夜の到着になっ…

心を開き、言葉を交わそう

まだ先のことだと思っていたのですが、来週の今頃はスペインにいるはずです。 スペイン巡礼の体験記で「心を開いて旅をすれば、きっとたくさんのことがあなたの中に入ってくるでしょう」という言葉を見つけました。 歩くのはどこでもできる。あなたの国でも…

絶対に失敗しない計画

スペイン巡礼は最初の1週間だけ予定を立て、パンプローナまでの宿も予約しました。パンプローナからの旅程も作りたくなりましたが未定にしておきます。カミーノ掲示板で「全行程の宿を予約しても、途中で想定外のことが起こればドミノ倒しのように崩れてし…

社会とつながるための仕事

スペイン巡礼を思い立ったのは、長年続けてきた週刊誌の連載の打ち切りを告げられたタイミングでした。巡礼路を歩きながら編集者と打ち合わせて原稿を書き校了までするのはいくらネットがあるといっても無理があります。 行きたくても無理だとあきらめていた…

72歳の挑戦

スペイン巡礼の掲示板に、72歳の女性が「初めて行くのだけど、旅行会社に宿や荷物運搬の手配を頼むか、自分でやるほうがいいか」という質問を書き込みました。 情報も集めているし、トレーニングもしているけれど、一人で全部やるのは不安だと。わかります、…

特別な瞬間を求めない

オリバー・バークマンの『限りある時間の使い方』に、『正気に戻る(Back to Sanity)』という本の一節が紹介されています。 ロンドンの大英博物館を訪れた観光客たちが、ロゼッタストーンを前にしてスマホの画面ばかりのぞいている。せっかく目の前に貴重な展…

旅で観るべきもの

スペイン巡礼に出てもサンティアゴ・デ・コンポステーラまで行かなくてもいいと思うようになったのは、司馬遼太郎の『街道をゆく 南蛮の道』の影響もあります。 前半のテーマはバスク。ピレネー山脈のふもと、フランスとスペイン双方にまたがる地方です。ベ…

過去は現在につながっている

ウクライナの戦争は長引き、ロシアにクーデターが起きたのかと思いきや、何がどうなったのかよくわからない状況。 先日は釜山の旅を楽しみましたが、朝鮮戦争は終わっているわけではなく休戦状態が続いているだけだそうです。 観光名所となった甘川文化村。 …

スーパースターの聖地巡礼

釜山が外国人旅行者に親切なのは、2030年の万博を控えているかもしれません。 誘致のための広報大使を務めたのはBTS。メンバー7人のうちジミンとジョングクが釜山出身です。 二人のゆかりの場所を巡る聖地ツアーに申込みました。英語のツアーなので、世界中…

釜山でカミーノ!

久々の海外旅行。韓国の釜山に行ってきました。 成田空港での航空会社カウンターのチェックイン、出国手続きは一切人を介さず、さくさく進みます。韓国入国は審査官がいましたが、日本再入国もパスポートと指紋をかざすとゲートが開きます。 コロナが一掃さ…

人生の先輩を訪ねる旅

帯広の温泉サウナ「ローマの泉」には食堂があります。ネットにはわざわざ「イタリアンレストランではありません」と注意書きがありますが、現地に行けば一目瞭然。 ローマの泉の開店は午前11時。少し早く到着したので入口の前で待っていると、食堂の名物女将…

基本は一人旅、ときどき二人旅

70年ほどの結婚生活を送ったエリザベス女王はこう言っています。 It's the secret of a happy marriage to have differnt intersts. 幸せな結婚の秘訣は、互いに違う趣味を持つことです。 「定年後、夫婦でスペイン巡礼行くのが夢です」というご夫婦に会った…

高齢者のサバイバル

自宅からもっとも近い都市銀行をメインバンクにしているのですが、ここ数年、改悪ばかりです。 ATMの数を減らして、窓口から分離して行き来できないようになりました。窓口は予約が推奨されています。銀行に利益をもたらさない少額預金者は相手にしていない…

旅は二度目からおもしろい。下関再訪

去年から延々と取り組んでいる 易の本の原稿。 300ページ近い原稿を書き上げて、連休明けは久々にJALの「どこかにマイル」で旅に出ることにしました。 ところが、校正がとても終わりません。あまりにも大量の原稿だったので書き飛ばした箇所も多かったのです…

人間関係のほどよい距離

最終的には人間関係が幸福度を左右するとよく言われます。いくらお金があっても、孤独な高齢者は幸福を感じることなく死を待つのでしょうか。 しかし、やたらと人とつながればいいとは思いません。誰が何をやっているか筒抜けになってしまう狭い共同体には、…

御岳山の宿坊で合宿

先週の水曜日から二泊三日で再び御岳山。 今回は物見遊山ではなく仕事。ずっと取りかかっていた易の本、なんとか入稿したら次は校正。 とにかく書き上げることだけを目標にしていたので、300ページ近くあるずっしり重いゲラを目の前にしただけで委縮してしま…

第二の敗戦?

熊野古道の中辺路の起点、滝尻の民宿のご主人から聞いた話。 「外国人は、エージェントを通して早めに予約して部屋を押さえる。日本人が思い立って熊野古道を歩こうとしても満室。紀伊田辺駅のビジネスホテルに連泊して、バスで熊野古道の起点に行って歩き、…

目的を持たず、歩くことだけを楽しみたい

東洋占術では六十干支が一巡りする60日、60カ月、60年が節目。なかでも、生まれたときの六十干支に戻る還暦は、もう一度生まれ変わって赤ちゃんに戻るという意味で、赤いちゃんちゃんこを着るのです。 60歳を超えたら、残りの人生はおまけのようなもの。仕事…

よみがえりの地、熊野

スペインの巡礼に行こうと思い立ち、予行演習のつもりで熊野古道へ。 パワースポットやスピリチュアルは、なんだかあやしげですが、特別な場所というのは存在するのだと実感。その流れで青梅の御岳山にも行き、都内なのにどうしてこれまで来なかったのだろう…

宿坊の聖なる仕事

この夏、フィンランドから遊びに来る予定の友人。「京都か奈良で宿坊に滞在したい」とメールが来たので「東京にも宿坊がある」と返信しました。 しかし、泊まった経験がないので、お勧めの宿坊を紹介できません。そこで青梅の御岳山に行くことにしました。日…

令和版『楢山節考』

JALの機内誌SKYWARD、浅田次郎の連載で二回にわたって棄老伝説が取り上げられています。 「姥捨て」と呼ばれる慣習は全国のどこにでもあり、深澤七郎は『楢山節考』でその年齢を数え70歳にしていますが、それは小説に今日性を持たせるための設定。本当は60歳…

先を急がず生きる

仕事からは引退するはずだったのに、なんだかんだと編集者から連絡があり、あわただしい日々が続きましたが、ようやく一段落しました。会社勤めとちがって、フリーランスには、はっきりとした引退はないのでしょう。 学校を卒業して働き始めてから、ずっと「…

熊野古道の使い猫

熊野古道から帰ってきて一週間。 コロナによる3年間の封印が解けたような旅でした。忘れられないのは、初日に出会った猫、みゃあちゃん。 滝尻は熊野古道の中辺路のスタート地点。 紀伊田辺の駅周辺にはビジネスホテルもあるのですが、それだとバスで滝尻に…

What a small world!

熊野古道を滝尻から近露まで一緒に歩いたジェシーとケイト。近露での宿は別々だったので、歩き終えて解散。午後5時を過ぎて徐々に暗くなってくるし、10時間近い歩行でくたくたに疲れています。名残惜しいけれど、あっさりした別れとなりました。 翌日は雨だ…