翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

靴磨きの少年はいつ株を語るか

2008年のリーマンショックから12年になろうとしています。そろそろ暴落すると言われ続けて早や数年。

 

暴落がいつ来るかは、経済知識のある専門家でも予測できません。 

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歴史に残る大暴落といえば1929年。空前の株式ブームに沸き、猫も杓子も株を買っていました。日本のバブル経済と同じです。

大暴落の前に売り抜けたウォール街の投資家は、靴磨きの少年が株の話をするようになったことで相場は天井が近いと悟ったそうです。

 

まさに辻占。道の辻に立って通りがかる人の言葉を聞いて判断する占いです。

ネットでアメリカ株関連のブログやツイートをチェックすると、すでに靴磨き少年のレベルに達している感があります。しかし、アメリカ株は全世界に開かれていますから、日本だけで判断できません。英語に加えて中国語やアラビア語もできれば、全世界の靴磨きの少年の言葉が聞こえるかもしれませんが、とてもカバーできません。

 

世界的にお金が余っている状況でも新興国への投資はリスキーで、投資するならアメリカと考える人が多いのではないでしょうか。中国やベトナム市場は魅力的ですが、資本主義を否定するはずの共産主義の国の株式市場に投資する気にはなれません。

 

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アメリカ市場の暴落は来週かもしれないし、来月あるいは来年か。

くるくる回る風車のように、持ち続けていればいつかは回復するでしょう。そうした肝力を養えたのも陰陽が常に変化する東洋占術のおかげです。

 

コンフォートゾーンから踏み出そう

11月はJALの「どこかにマイル」で北海道がよく候補に出てきます。秋の観光シーズンが本州より一足早く終わっているからでしょう。

 

先週は釧路へ飛びました。札幌は雪のようでしたが、釧路は快晴。

JRで厚岸(あっけし)まで行くことにしました。釧路と根室を結ぶ根室本線は別名「花咲線」というかわいい名前を持ちながら、「単独では維持することが困難な路線」となっています。

 

かつては北海道第四の都市だった釧路ですが、人口で苫小牧市に抜かれました。駅前の大通りもがらんとしてシャッターが下りたままの空き店舗が目立ちます。東京では決して実感できない人口減の危機が、地方に旅するとひしひしと感じられます。

 

釧路駅からのJR乗車に戸惑いました。改札がICカードに対応していないので切符を買おうとしたのですが、券売機がどこにも見当たりません。みどりの窓口に二人ほど並んでいるだけだったのであまり待たずに買えましたが、いくら車社会とはいえ、いちいちみどりの窓口で切符を買うのは面倒では? 

 

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一両編成の花咲線に乗って疑問は解けました。バスと同じで、整理券を取って現金払いができるのです。無人駅もあるからでしょう。

 

海外だとさらに大変です。秋に旅したスペインでは、高速鉄道のRenfe(レンフェ)で移動しました。日本からネットで予約できるのですが、悪戦苦闘しました。英語表記にしても注意書きはスペイン語のままだし、発売開始のタイミングがよくわかりませんでした。

日本のクレジットカードは通りにくいという情報もありましたが、予約ができれば支払いはスムーズでした。

送られてきたPDFファイルを印刷しておいたのですが、現地でも戸惑うことばかり。どのプラットフォームから発車するか、直前になるまでわからないのです。そして、マドリードに戻ってきた時は、プエルタ・デ・アトーチャ駅ではなく一つ前のアトーチャ・セルカニアス駅で降りてしまい、印刷したQRコードでは改札が通れず、大いにあわてました。

 

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長距離列車が出るプエルタ・デ・アトーチャ駅には、熱帯植物が植えられていて、リゾート気分が味わえます。

見知らぬ土地では、戸惑うことばかり。お金とエネルギーを使って、なんでこんなことばかりやっているのか、自分でもあきれてしまいます。家にじっといて本を読んだりネットフリックスを見ていれば何のストレスもないのに。

 

それでも旅に出るのは、コンフォートゾーンから踏み出したいから。

この言葉を教えてくれたのは、アメリカ人のカウチサーファーのケネスです。

 

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自分が心地よいと感じられる場所だけにいたのでは、何の変化もないし、成長もしない。

コンフォートゾーンという言葉はいかにもアメリカ人好みですが、東洋占術でも停滞を嫌い、常に新しい風を入れることを推奨しています。

 

コンフォートゾーンから一歩踏み出すには、遠くに旅する必要はありません。

私が通っているスポーツクラブは水曜が休館日なので近くの銭湯やサウナに足を伸ばしていますが、通い慣れたスポーツクラブとは違う緊張感を味わいます。「主(ぬし)」と呼ばれる常連客の不興を買わないように気を付けなくてはいけませんから。

 

歳を取るにつれてコンフォートゾーンでぬくぬくと過ごしたいという気持ちが強くなりますが、あえて一歩踏み出す勇気を持ち続けようと思います。

妖精さんとおばあちゃんの国

朝日新聞の「老後レス時代」、朝から暗い気分になりますが、怖いもの見たさでつい読んでしまいます。

 

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連載1回目の70歳を過ぎても働くしかないという人たちに対して、2回目は大手メーカーに勤める50代後半の男性社員。フレックスタイムを利用して朝早く出社し、タイムカードを押したら食堂でゆっくり過ごす。朝の数時間しか姿が見えないので若手社員に「妖精さん」と呼ばれているそうです。

妖精さんも若い頃は海外の工場勤務や新しい機械の導入で大いに働いていたのです。50歳を過ぎて事務部門に配置転換され、定年を待つだけの状態となり、若手社員のストレスの元に。会社側は解雇もできず、他に移すポジションもありません。

妖精さん」は私とほぼ同世代。男女雇用均等法前、ぱっとしない成績の同級生の男子学生が次々と大手企業の内定を得ていました。日本は男に生まれたというだけで、下駄をはかせてもらえるんだとくやしい思いをしましたが、「妖精さん」として職場に居座るのも精神的にはきついでしょう。

  

そして昨日の朝刊の連載3回目は、就職氷河期に社会に出た女性たちが登場します。

超高齢化が進む日本は、男性より寿命の長い女性ばかりの「おばあちゃんの国」となります。ロスジェネ世代の女性たちは老後の生活に大きな不安を感じています。記事には「退職金もなく将来生きていくのであれば生活保護しかない。安楽死施設を開設してほしい」という声も。実際、国際医療福祉大学の稲垣誠一教授によると、未婚・離別のシングル女性は2050年には高齢女性の3割近くに足し、その約45%が生活保護レベルの貧困に陥る推計されるそうです。

 

私は四柱推命で120歳までの大運を出し長生きのリスクを計算していますが、これは生まれた時期と環境が自分の特質に合っていたおかげ。たまたま運がよかっただけで、貧困に陥るのは自己責任と切り捨てることはできません。

 

東洋占術を学び始めた頃は、「同じ日に生まれても男と女で大運の流れが逆になるなんて前近代的」とか「九星気学は生まれ年で本命星を決めるなんてずいぶん粗い」と思ったものですが、性別や生まれた時期によって個人の努力ではどうにもならない要素は確かにあります。運が悪かった人たちにも寛容な社会であり続けてほしいと願いますが、みんな自分が生き延びることだけに必死になる殺伐とした国になるのでしょうか。

 

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ドン・キホーテを国を代表とするキャラクターに祭り上げているスペインは、老人と子供に寛容な国だと感じました。

 

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占いで学んだ最も有益なことは、先憂後楽

宅配の新聞はエネルギーの無駄使いだと思いつつ、なかなかやめられません。都内は外国人留学生に頼っている宅配所が多いようですが、せめて夕刊の配達は廃止して負担を軽くしてあげたらいいのにと思います。

 

昨日(2019年11月10日)の朝刊。1面トップは、「老後レス時代」の連載の第一回目で見出しは「71歳 働くしかない」です。

池袋のハローワークに来ている、ややおぼつかない足取りの白髪の男性(71歳)。「まさかこの年まで働かないといけないなんて。70歳を過ぎると選べる仕事なんてもうないですよ」。

 

2面の続きには、68歳から警備員として働き始めたという73歳の柏耕一さんが登場します。自らの体験を元に「交通誘導員ヨレヨレ日記」を出版し3万4千部まで版を重ねているそうです。

「長年、独立の書籍編集者として働いてきて、経費と給与をあわせて年に1千万円ほど使えていた時期もあったが、浪費もしたし年金は夫婦あわせて月6万円ほど」とあります。同じような仕事をしてきた私は他人事とは思えません。実際、取材や撮影現場でよく組んでいたカメラマンやスタイリストの中には、かなり羽振りがよさそうなのに国民年金を払わない人がいました。

 

私はマネー関連の記事を女性誌に書くことが多く、取材したファイナンシャルプランナーから自営業の老後のきびしさについてよく聞かされていました。積み立てNISAもiDecoもなかった時代ですから、老後対策として国民年金基金と小規模共済、ネット証券で個別株の運用を始めました。マネー記事なんて地味でおもしろくないと思っていたのですが、結果的にはとても役に立ったわけです。

 

それ以上に役立ったのが、占いの勉強です。最初に受けた講座の先生は、占術のロジックを語るだけでなく、その背後にある考え方をみっちりと教えてくれました。

四柱推命では10年ごとの「大運」を出します。対面鑑定の場で80代までしか書かないとお客さんに「私は80代で死ぬんですか」と言われることがあるので、十二支が一回りする120歳まで書いたほうがいいと教わりました。

120歳までの自分の大運を出すことで、高齢者となった自分をリアルに想像できました。そして、巡りくる大運を見て、どんな老後を送るべきか考えたのです。これはとても有益でした。

 

そして、心に残ったのは「先憂後楽」という言葉。

占いを学べば、これからの人生の流れがわかります。流れがわかったからといって、楽なことばかりになるのではありません。先に苦しいことに向き合っておくとそのうち楽しいことがやってきますが、苦しいことを後回しにしていると問題は大きくなって手がつけられなくなります。70代になって過酷な現場で働き続けなくてはいけないのは、病気や怪我などの事情があった人のほかに「先憂後楽」を怠った人もいるのではないでしょうか。

 

人生を俯瞰的に見るために占いは有効です。そして、どこまで学んでも終わりがありませんから、長い老後を退屈せずに過ごせます。

 

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台北の占い専門書店、進源書局。来年は辰の方位が吉方となるので、台湾にまた行きたくなりました。

旅するミニマリスト

海外旅行でもスーツケースを使いません。

空港で預けると到着時に荷物が出てくるのを待たないといけないし、機内持ち込み可のサイズでも、後から乗ってきた人が荷物入れのスペースを探しているのを見ると気の毒になります。それに街中でスーツケースを引いているといかにも旅行者然としているから。ちょっと大きめのバッグなら、地元に溶け込んでいるみたいに見えるのか、外国でも道を聞かれることがよくあります。

 

自分の荷物は自分で運ぶ。筋力が衰えて人に運んでもらうようになったら、旅を卒業するタイミング。まだ老いを実感していないから、こんな傲慢なことを考えられるのでしょうか。

 

9月終わりからの7泊9日スペインの旅の荷物は、レスポートサックのボストンバッグ(ミディアム)と縦長のトートバッグの2つ。いずれも肩にかけられます。

 

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サイズがわかりやすいように、ホテルに備えられていたファッション誌、クッションと撮ってみました。レスポのバッグはファッショナブルな人からは敬遠されるのかもしれませんが、とにかく軽いし、汚れたら丸洗いできます。にぎやかなデザインが多いので、2つ持つ時は同じ柄に揃えています(このシリーズは月の満ち欠けをデザインしたもので、占い関係の会合にも最適)。

 

風車の村、カンポ・デ・クリプターナからの帰り道、マドリード行きの列車に乗るためにアルカサールの駅に向かいました。そこで日本人のご夫婦に出会ったのですが、私の荷物を見て奥様は「たったそれだけ?」と目を丸くしていました。

 

洗濯機で洗えてバッグに詰め込んでもしわにならない素材を選び、コインランドリーで洗います。iPadkindleを入れておけば、何冊でも本は持っていけます。ショッピングよりもスペインバルで地元民の観察のほうが楽しいから、おみやげもあまり買いません。今回買ったのは、パエリア用の香辛料だけです。

 

旅ではミニマリストに徹することができるのに、自宅に戻ってみると物の多さにうんざりします。今年の春にマンションをリノベーションして、かなり捨てたはずなんですが、それでもまだ多い。旅先のおみやげなら自制できるのに、ネットショッピングでついクリックしてしまいます。

 

人生は長い旅路。いつかは始発駅に戻り、旅を終えます。その時、何も持っては行けず、生まれた時と同じように裸で死んでいきます。そうしたことを悟るために旅に出ているはずなのに、なかなか実生活に落とし込めません。

 

今の日本では、施設に入所して臨終を迎えるのが一般的なパターン。自宅を去る時の荷物整理が最後の旅支度となるのでしょう。はたしてその時、ミニマリストになっているでしょうか。