翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

オタク第二世代

欧米からわざわざ日本に留学してくる学生のほとんどはオタクです。

日本語を勉強する動機は、アニメやまんが、ゲームにハマったから。彼らの野望は、字幕や吹替なしでアニメを見ること、原文でまんがを読むことです。

作文の定番テーマの一つが「どうして日本のアニメが好きですか」。

「私の父はお宅です」と書き始めたベルギー人の学生がいました。熱心に漢字も勉強しているので、「オタク」を「お宅」と書いたのでしょう。

 

「ひらがなかカタカナで書きましょう。『お宅』は『あなたの家』のていねいな言い方です」と説明します。

彼女の母語はフランス語。父親の影響で日本のまんがをフランス語訳で読み始めたところ、あまりにへたな訳でまちがいも多いので頭にきて、日本語を勉強し始めたそうです。もちろん父親は大賛成。

 

チリ人の学生は、ゲームにハマって日本語の勉強を始めました。

一日何時間もゲームをするらしく「お父さんやお母さんは、『ゲームより勉強をしなさい』と言いませんか」と聞いてみました。

「母はそう言いますが、父は何も。私の一番最初の記憶は、父のひざの上で、父がニンテンドーゼルダをプレーするのを見ていたことです」

彼らの親世代は40代半ばから50代ぐらいでしょうか。「オタク」という呼称が生まれたのは1970年代ですから、外国人のオタク第二世代が日本に留学する時代にになったのです。

 

1990年代後半に生まれた呼称「腐女子」も海外にすっかり定着しています。そっち系の話ばかりする女子学生に「もしかして腐女子?」と聞くと、「はい、私は腐女子です! 先生も腐女子ですか?」とものすごくうれしそうな反応。「いいえ、私は腐女子じゃありません」と答えながら、将来は「私の母は腐女子です」という腐女子第二世代が来日するのだろうかと想像しました。

 

 

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フィンランドの図書館には、MANGAコーナーもあります。

 

 

歯の健康は金運に直結

6月4日から歯と口の健康週間。6(む)4(し)の語呂合わせです。

 

人相では、口が大きかったり、顎ががっしりしている人は生活力があるとみます。

東洋占術は現実的ですから、大きな口でしっかり咀嚼して栄養分を摂取する人は、働き者でお金も得ると考えるのです。ただし、口を半開きにしていると、お金がぽろぽろ出ていくという説も。

がま口という言葉もありますし、口はその人の財布(金運)の大きさを象徴します。

だったら、口以上に歯は大切です。歯が悪ければ、いくら財布が立派でも小銭しか入っていない状態ですから。

 

住まいの風水調整や吉方取りよりも、歯の健康管理のほうが効果的ではないかと私は思っています。

歯の病気は自然治癒ということはまずありません。そして歯のケアを先延ばしして、どうしようもなくなってから歯科医に駆け込むような人は、自己管理ができていない可能性が高く、お金が貯まることはまずないのでは。

というわけで、私は年に2~3回、定期的に歯科医院に通っています。歯科衛生士によるクリーニングのためです。歯の状態もチェックしてくれるので、虫歯や歯周病が見つかったら、専門医の診察を受けることになります。

歯科医選びも大切です。今や歯科医院はコンビニより多く、ワーキングプア状態の歯科医もいると聞きます。金運に直結する歯のケアをそんな歯科医に任せるのは得策ではありません。

私が通っている歯科医院は予防歯科に力を入れ、数年前にクリーニング専門の別院を増設しましたから、経常状態は良好のようす。メインの受付にはいつも生花が飾ってあり、納入する花屋さんが花の名前のカードを置いています。アレンジ込みで定期的に発注しているのでしょう。

 

定期的な歯のケアで金運の維持に努めてきたのですが、おととしの1月、台湾の夜市で酔っ払って歩き回り、転んで前歯を折ってしまいました。

 

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 帰りの飛行機では、「もう稼げないんじゃないか」と暗い気持ちに。成田に到着すると同時に、歯科医院に電話し、緊急事態ということで翌日に院長自らの診察を受けました。

10年以上通っているので、私の歯の状態はすべて把握されていますから、治療はスムーズでした。治療後は、歯を折ったことを忘れるぐらい、生活に何の支障もありません。そして、金運へのダメージもありませんでした(治療費はちょっと痛かったけど)。

 

歯のクリーニングに通うたびに、「これで数か月間の金運は大丈夫!」という気持ちになります。

 

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仙台・秋保温泉の佐勘で食べたアワビとイクラ、アスパラガスの一皿。G7の財務大臣会議で出されたメニューの一つです。アワビはやわらかく、みずみずしいアスパラガスには磯の香りのする海苔がまぶされていました。こうしたご馳走を堪能できるのも、歯が健康だからこそです。

生きる意味を探す旅

Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグハーバード大学卒業式でのスピーチのテーマは「すべての人たちが人生に目的感を持てる世界を作ろう creating a world where everyone has a sense of purpose)」でした。

 NASAの門番に「何をしているの?」と質問すると「人類を月に送る手伝いをしています」と答えたエピソードを紹介していました。

 

これは、「3人のレンガ積み職人」の話です。

レンガを積んでいる職人に「何をしているのですか」と質問すると、最初の職人は「レンガを積んでいる」、次の職人は「大きな壁を作っている。この仕事で家族を養っている」、そして三番目の職人は「歴史に残る大聖堂を作っている」と答えました。

単にレンガを積んでいるだけという職人は見るからにつらそうに仕事をして、家族を養っている職人はそこそこやりがいがあり、大聖堂を作っているという職人はきらきら輝いているという寓話です。

 

技術革新によりたくさんの仕事がなくなっていき、生きることは容易になっても、生きる目的を感じるのはむずかしくなっています。

フィンランドベーシックインカムを試験的に導入していますが、能力のない人間は無駄に仕事をしようとするより、じっとしていたほうが社会にとって有益かもしれません。生活には困らないけれど、生きている意味がわからない。そんな状態に耐えられるでしょうか。

 

私がメインの仕事としていた雑誌の原稿書きも、そろそろなくなる仕事でしょう。単に東京にいてたまたま出版社とつながって、原稿依頼を受けるなんて牧歌的な時代は終わりつつあります。

そうした危機感もあり、副業の日本語教師を始めたのですが、こっちの仕事は予想以上に大変でした。

 

単に日本語を勉強するだけなら、ネット上にすぐれた教材がたくさんありますし、来日して勉強するならボランティアの日本語教師もたくさんいます。

わざわざ高い授業料を払ってまで、日本語学校で勉強する意味があるのか。

つまらなそうにしている学生がいるたび、びくびくします。

 

学生たちに「このクラスに出た意味があった」と感じてほしい。そうすれば、私も「生きている意味を感じることができます。

覚醒した人は、他者からの承認がなくても充足しているのでしょうが、その域に達することは無理です。「必要とされたい」という気持ちが強いのは一種の業(カルマ)ですから、つきあっていくしかありません。

 

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プロ野球交流戦たけなわ。仙台・大崎八幡宮には楽天の必勝祈願の絵馬がありました。プロスポーツ選手は、生きる意味を探る云々の前に目の前の白球を追います。しかしそれは現役時代だけのこと。引退後の生き方がとてもむずかしいのでは

旅に出るのは楽しいけれど、やはり何か目的がほしい。とりあえず、吉方に出かけることで、旅の目的が一つ遂げられた充足感があります。人生全体が生きる意味を探す旅であるとしたら、占いは、自分の人生に起こっていることにどんな意味があるのかを探る助けになります。

秋保温泉 佐勘のノブレス・オブリージュ

仙台四郎、主婦の店さいちと、商売繁盛スポットを巡った仙台の旅。

初日に泊まった秋保(あきう)温泉の佐勘(さかん)も、なかなかのものでした。

 

秋保温泉をネットで検索するとリーズナブルな宿もけっこうありました。しかし、開運旅なら奮発したいところ。秋保温泉を代表する宿ということで、佐勘に決めました。

秋保温泉は、欽明天皇の皮膚の病を完治させたことから「御湯(みゆ)」の称号を賜ったという由緒正しい温泉です。そして、温泉を管理し、仙台藩から湯守(ゆもり)に任命されたのが佐藤家で、代々の当主は佐藤勘助さん。そこで宿の名前は「佐勘」となりました。

天明飢饉で秋保の村でも多数の死者が出たとき、佐藤家は湯守の収益の3分の1を村に収めることにしました。

こうした経緯があるからこそ、2016年にはG7の財務大臣会合が開催されたのでしょう。

 

佐勘では毎晩、歴史ツアーがありこうした話を聞くことができます。

いつも儲けることばかり考えている私ですが、儲けをすべて自分の懐に入れるのではなく、社会に還元しなくては。佐勘に泊まってそんなことを思いました。

 

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佐勘の最大の危機は、江戸時代にお湯が枯れたこと。はるばる高野山まで祈願し、再びお湯が出ました。その際に高野山から持ち帰った火種は今も燃え続けています。

 

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佐勘には川沿いの露天風呂があります。男女入れ替え制なので、初日しか入れませんでしたが、川のを流れを見下ろしながら風に吹かれて温泉に入るのは最高の体験でした。

 

仙台で商売繁盛の秘訣を探る

仙台に到着後、まず向かったのが、クリスロード商店街。仙台四郎を祀る三瀧山不動院です。

 

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 仙台四郎は江戸時代末期から明治を生きた実在の人物です。

彼の立ち寄る店は繁盛し、「福の神だ」と呼ばれるようになりました。

彼には知的障害があり、気ままに歩き回っていたのですが、温厚な性格で誰からも好かれていたそうです。

知力の代わりに彼には繁盛する店を識別する特殊な能力があったのでしょう。素直な性格なのに、嫌いな店にはどんなに誘われても決して足を向けなかったそうです。

 

昨年の春から外国人に日本語を教えるようになりました。一応「日本語教師」ということになっていますが、教師というよりサービス業です。

教えている学校がヨーロッパ系で、学生を「カスタマー」と位置付けていますし、私が担当している作文は選択クラスですから、学生に選ばれなければ授業が成立しないのです。

そして学生のレベルも動機も千差万別。母国の大学で日本語を専攻し研究者を目指す学生もいれば、日本で数週間遊びたいけれど親に言われてしぶしぶ日本語学校に通っている学生もいます。

本業がライターなので作文クラスを担当することになったのですが、最初の頃はどうしていいのかまったくわかりませんでした。

 

新しいディレクターが着任して、方向性が決まったものの、その後も試行錯誤の連続。日本語を教えようとするのではなく、学生一人一人が書きたいものを書く手伝いをするという方針に舵を切りました。

クラスがつまらなければ学生は来なくなりますし、おもしろければ友達を連れてきます。毎回、何人来るのか、胃が痛くなりながら教室に向かいます。

これはまさしく商売人です。

 

商売といえば、仙台の奥座敷、秋保温泉に伝説のスーパーがあります。

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その名も「主婦の店 さいち」。

手作りのおはぎとお惣菜で大評判、週末にはおはぎを求める客で渋滞が起きるという店です。

佐藤啓二社長は「家庭料理よりおいしくなければ絶対に買ってもらえない」と言います。

なるほど、なるほど。

私のライバルは同業の日本語教師じゃありません。東京の観光スポットです。秋葉原や浅草よりおもしろい体験を提供しなければ、絶対に来てもらえないのですから。

 

アニメやまんがが好きで、数週間しか日本に滞在しない学生に、動詞の活用を覚えさせようとしても、うんざりされるだけです。

「あなたの表現したいことは、こんなこと? だったら日本語ではこう書きます」という方向に持っていきます。

初めて来た学生がこんな問いを発しました。

「このクラスでは何をするんですか?」

私の答え。

"Express yourself in Japanese!"

どんな日本語でもいいから、あなたを表現してしてほしい。

あなたがずっとあこがれていた日本で、あなたのことを日本語で書いてほしい。

それは単なる観光旅行よりずっと楽しいはずでしょ?

しばらくさぼっていた生徒が久しぶりに出席したと思ったら、日本人の恋人へのラブレターの添削を頼まれることもあります。ここは恋文横丁? とにかく日本語を学ぶモチベーションが上がるのはいいことですし、日本人の恋人ができた学生は一気に日本語が上達します。

 

作文クラスを繁盛させるためには、教師はいつも機嫌よくあるべきだと気づきました。

仙台四郎は、いつも機嫌よくにこにこしていたからこそ、福の神になったのです。

そして、主婦の店さいちで働く人たちは、駐車場誘導スタッフに至るまで、とても感じがよく、きびきびとしていました。この店で働くのが本当に楽しいという気を全身から発しているのです。

同じようなことを千葉のいすみ鉄道でも感じました。

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日本語教師を始めたばかりの頃は、緊張のあまり、楽しいとは感じられませんでした。そんなピリピリとした雰囲気では学生が寄り付かないのも当然です。

学生の作文を読むのがおもしろくなり、やりとりも活発になってきて、少しずつ楽しい教室になってきました。

 

いつも機嫌よく、客を最大限に楽しませたい。しばらくこのスタイルで続けてみます。